マックルモアの「Same Love」が変えたもの。同性間結婚が大きく進んだ2013年

2013年は、LGBTの世界において、歴史に残る一年になった。アメリカで初めて同性間の結婚が合法化されたのだ。

それまでも州単位で検討され、州に裁量があるベネフィットが認められる婚姻はあったものの、それは国全体で通用するものではなく、どこか不自然さが残っていた。

今度は逆だ。まず国がOKを出した。だから例えば外国人と結婚したとしても、永住権が提供される。今、州がそれに追いつこうとしたり、抵抗したり、ドラマを繰り広げている。

結婚のライセンスは州が発行するものだから、国だけのOKではダメなところがやっかいだし、外からはわかりにくい。今日現在で、50州中9州で合法化されている。まだまだ先は長そうだ。ここに合法の州がまとめられているので参考に。

20年前にこんな状態だったら、僕はビザのために学校になど行かずに済んだのだが、という話はまた今度。

上のビデオは、グラミー賞でベスト・ニューアーティストに輝いたマックルモア&ライアン・ルイスの名作「Same Love」だが、初めてこの歌をラジオで聞いた時には、思わず耳を疑った。きれいなメロディに乗せて語られるストーリーはラップにしては耳に入りやすく、最初の方の「…I was gay」が運転中の僕の注意を呼び覚ました。

そしてサビの「I can’t change, even if I tried, even if I wanted to …」に心が崩れそうになる。家に戻ると早速iTunesからダウンロードし、歌詞をサーチし、人々の反応や対話を探した。こんなに正面から、こんなに美しい形で表現され、ヒップホップという最も現代的とも言えるフォーマットで世に出てきて、そして広く受け入れられている事実。

YouTubeで観た上記のビデオは、メッセージがそのままに映像化され、エンディングも涙なくしては見れない。
後にVideo Music Awardで初めてライブがTV放送された。レディーガガの応援、ジェニファー・ハドソンとの共演。まるで教会のショーのようにパワフルなメッセージ。アメリカがグイグイと変わっていくのを誰もが目撃した。下のビデオをご覧いただきたい。その後のグラミー賞でマドンナと繰り広げた一大パフォーマンスも、賞の歴史にくっきりと刻まれる大イベントだった。
本当に良い時期に、良い形で出てきた歌だ。 

僕らは皆、選択なく自分に振りかかる様々な宿命を受け入れながら成長していく。その過程で何かを諦め、何かを捨てる。そうしなければ、前に進むことができないからだ。でもそれで、痛みから解放されたわけではない。僕はそんなことの手助けをライフワークにしていきたい。

こちらの対訳ブログが本当に秀逸なので、ぜひ一度、歌詞に目を通していただきたい。この歌がどれほどアメリカで画期的だったか、そしてどれほど意味があることだったのかが理解いただけると思う。ここに書かれていたので初めて知ったが、最後に歌われる ♫Love is patient, love is kind は、聖書の一節だそうだ。教会が憎むことを教えていいのかという歌詞に呼応して、深い洞察をうながしている。

Love is patient, love is kind.
愛は寛容であり、愛は情け深い。

It does not envy, it does not boast, it is not proud.
愛は妬むことをしない、高ぶらない、誇らない。

It is not rude, it is not self-seeking.
不作法をしない、自分の利益を求めない。

It is not easily angered, it keeps no record of wrongs.
いらだたない、恨みを抱かない。

Love does not delight in evil but rejoices with the truth.
不義を喜ばず、心理を喜ぶ。

It always protects, always trusts, always hope, and always perseveres.
そして、全てを忍び、全てを信じ、全てを望み、全てを耐える。

Love never fails.
愛はいつまでも絶えることがない。