成長はゆっくりカーブでやってくる。期待と実際のズレに負けないで継続する意味

成長曲線

グラフ「成長曲線」 ©Imua Consulting

人の成長はカーブを描いて急速に伸びる

会社経営をしていた時代から、社員にも継続努力の必要性、重要性を何度も説いてきたのですが、コーチになってからも、まったく同じことをクライアントに言い続けています。

人は、少しの努力で、一歩、一歩、階段を登るように上に上がっていっていると勘違いしたがるのですが、実は本物の成長には「時間」というファクターが必要です。

効果が目に見えないからと次々に手法を変えたり、自分には向かないと勝手に決めて止めたり、努力をしても自分は変われないのだと諦めてしまったり。

せっかく始めた新しい良きことが、「習慣」になり、「当たり前」になり、「実」になっていく一連のプロセスを見届けることができないでいる人が多いようです。

人は、一直線に右肩上がりに成長するのではなく、あるポイントを境に、ぐんっと急上昇していくものなのですね。

あともう少しでたどり着く、その「ブレイクスルーポイント」(ティッピング・ポイントという言い方もあります)が待てずに、その手前で止めてしまう人がいかに多いか。

成功の条件として、最近言われるのが「グリット(気概、闘志、くじけない心)」。

こちらのTEDスピーチでも有名になりました。

日本語字幕がありますので、ぜひご覧ください。

何もしないと、相対的に下がっていく

何かうまくいかないと、すぐに止めてしまう。

やり方を変えて、自分に合うような形で続ければいいのに、せっかく始めたことを「ゼロ」に戻してしまう。

すると、どうなるか。

ページ上のグラフは、私の作品ですが(笑)、何もしない人は、周りが進歩し、進化し、どんどん変質していくのに対し、「劣化」し、「退化」してしまうと、私は考えています。

2016年の今になっても、「パソコンが苦手」「私はアナログなので」とか、自嘲気味にいう人がいますが、それらは選択のある話ではなくて、誰もが習得し、生活の一部として、あるいは自分にレバレッジをかけるツールとして利用しているべきもの。

私がMBA留学した時代には、もうすでにひとり一台が当たり前になっていたので、アメリカで言えば、もう20年もそんな状態が続いています。

数年、遅れていた日本だって、2000年はIT元年。

皆がメールアドレスを持ち、ネットを当たり前に使いこなすようになってから、16年が経っています。

デジタルデバイド、という言葉がありますが、完全に「下層」に位置しているのに、笑っている場合ではありませんよね。

テクノロジーの進化は、まだまだ始まったばかりなのですから。

パソコンについては、ごく一例に過ぎませんが、読書で知識を得ることや、適度な運動を続けることや、食と健康に関する知識を学んで実践していくことなど、「すぐには目に見えた効果がないかもしれないけれど、長期的にはとても大切なこと」を無心に続けられるかどうかが、「成長」の鍵になっていくのです。

「Feeling good(気持ち良いこと)」が正しいこと、と脳は勘違いしやすいですが、そこは理性と知識でごまかされないようにしなくてはなりません。

一過性の快楽と真に「有意義なこと」とを勘違いし、本当に大切なものを見失ってしまっては、先々苦労することになりかねません。アリとキリギリスの世界ですね。

コーチングも続けることでブレイクスルーが訪れる

習い事もそうですが、コーチングもそういう意味では同じです。

適切なコーチについて、適切な態度で望めば、一度のコーチングで、絶大なる効果は感じられるはずですが、それは単にひとつの気づきを得ただけのこと。

そこから行動を変え、習慣を変え、新しいことにチャレンジし、フィードバックをし、さらなるコーチを受けて、そのレベルをどんどん上げていく。

その過程において出てくる心のブレーキや、考え方の盲点となっていることを客観的な視点からプロの手を借りて解決をし、期限を決めて挑戦を続けていく。

この繰り返しが、本物の、長期にわたって続く「成果」を生んでいきます。

人の潜在意識は複雑な構造をしています。

ですから、芯にある要因が浮き上がって見えてくるまで(クライアントにもコーチにも)、何ヶ月もかかるのは、ごく当たり前にあること。

一度のセッションで、全ブレーキが外れるわけもなく、本当の成果を求めるのであれば、やはり1年は続ける必要があるように、過去数百のセッションの経験から感じています。

短期で終了する方もいらっしゃいますが、それは、そもそもの「目的」が、とても目の前にある場合に限ります。

一度や二度のセッションで、人生のミッションやビジョンが明確に定められたり、5年後、10年後のイメージがクリアになるわけではありません。

ましてや、長年の考え方や、習慣が、一気に変わる可能性も薄いですね。

(そのような気になることはあったとしても、また元に戻りやすいようです。)

現在、18カ月ほど続けているクライアントさんがいますが、ここへ来て、「ブレイクスルー・ポイント」に差し掛かっているのか、自他共に、花開きつつある予感がぷんぷん漂っていたりします。

グラフのように、本当にじっくりと辛抱の時期を経て、今、まさにぐっと角度を変えて、上昇気流に乗ろうとしている最中。

辛抱して、泣きながら、落ち込みながら、時に具合まで悪くなりながら、懸命に自分を変えようとチャレンジしてきた成果が、ようやく見えてきたところです。

大切なことは、失敗を繰り返しながら学び続けること

なぜ時間がかかるのか、ということを考えてみると、やはり「試行錯誤」の期間が必要だからなのだと思います。

新しいことにチャレンジしてみる。

当然のことながら、すべてがうまくいくわけではない。

フィードバックを受けて、分析をし、軌道修正をし、再度、挑戦してみる。

うまくいったこと、うまくいかなかったこと。

さらに軌道修正して、やり直す。

その繰り返しによって、人は初めて何かを学び、成長していく。

その体験が自信となり、さらに上のステージに上がっていく準備ができる。

そういうことなのだろうなと思います。

最後に、継続の重要性についての、代表的な引用句をひとつご紹介いたします。

成功は最終地点ではなく、失敗は致命的ではない。
大切なのは重要なことを続けていく勇気だ

Success is not final, failure is not fatal: it is the courage to continue that counts.

(ウィンストン・チャーチル)