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ロシア系プログラマーの男子社員が性転換。金髪女性になって戻ってきた話

Coco Nail(Nail Art by Coco Hayano)

来週のハワイでの起業セミナーを前に、ハワイでの経営のアレコレを思い返していました。ずいぶんと鍛えられて、その内、何が来ても驚かなくなっていったのには、ちゃんとワケがあったなと苦笑い。今回の話もそのひとつです。

長年一緒に働いたロシア系アメリカ人のプログラマー君が、退社後、しばらくして会社に来てくれた時に、「女性」になっていました。

女装、じゃなくて、性転換して、女性になっていたのでした。

2000年前半、創業からそれほど時間が経っていない小さなスタートアップで、本格的なウェブの仕事をするのはとてもたいへんなことでした。

日本人のプログラマーなどいなかったので、どうしても現地のスタッフを採用することになりますが、人材不足で引く手あまた。22歳の新卒が4000ドル(40万円)くらいの月給で引きぬかれてしまうのです。普通なら2000~2500ドルが良いところ。

とくにリクルートが激しかったのは、軍の施設、あるいは軍にサービスを提供している提携会社です。

早いスタッフは2カ月くらいでいなくなりました。それも「2週間後に辞めます」という、アメリカ式の辞め方です。唯一のプログラマーに2週間で辞められてしまう恐怖、分かるでしょうか。

営業や編集やライターやカメラマンや経理なんかは、自分が代わってやればいいのです。その頃はもう何時間だって働く覚悟ありましたから、しょうがねえなあと腹くくってやればいいのですが、プログラミングだけは代わることが出来なくて困りました。(当時デザインは日本の会社に丸投げだったので、心配なしでした。)

そんな時に入ってくれたNY出身のロシア系アメリカ人プログラマーのA君は、ハワイ出身の女性と結婚して、なぜだか日本文化も大好きで、有能で経験もあり、とてもおとなしくて言うこと聞いてくれて、自分で事業も持っていたせいか、それなりの給料でも喜んで長いこと働いてくれたのでした。成長期に、彼のような人がいてくれて、本当にラッキーだったなあと思います。

やがて僕らも成長し、ひとりのプログラマーでは追いつかない仕事量になってきました。サイトも人気が出て大きな収入源となり、いよいよ大改修が必要となりました。そのプロジェクトは、信頼がおける日本の企業に依頼することになったのです。その後のメンテナンスも含めての契約を交わしたのは、2006年のことだったかと思います。

彼もそろそろ個人の事業で食べて行きたいと思っていた矢先のこと。だから双方タイミング良く、関係にひと区切りすることができました。

その後も、質問があったりすると気軽に答えてくれたり、ネットワークなどの面では保守をお願いしていたのですが、ある時から連絡が取りにくくなりました。噂によると離婚してアメリカ本土にいるらしく、でもハワイにもベースはあると言う。なんだか様子が変だなあ、大丈夫かなあと不安に思った頃、彼が訪ねてきてくれました。少し今までとは違うシリアスな様相で、僕に打ち明けてきたのです。

「実は自分は、男性の身体を持って生まれてきた女性なんです」と。

これから外見もどんどん変わっていくから、皆にもビックリしないように説明しておいてほしい、と頼まれました。

オ、オッケー…

今まで彼のプライベートなことなど聞いたこともなかったし、関心を持ったこともなかったのですが、俄然、好奇心が沸き上がってきます。興味津々でいろいろ聞きたいのですが、雇用の延長みたいな関係の中で何を聞いていいのかも分からず、今までたいへんだったね、良く決心したね、と声をかけてあげるのが精一杯でした。

ホロッと、彼も涙を見せました。何か変だなと悩んだこと、その要因が見えてきて救われたこと、でもその先に進むのが怖くて、また悩んだことなど、ポツポツと話してくれました。

こうやって、話ができるまでには、ずいぶんと彼なりの葛藤があったのでしょう。当たり前ですね。そんな心の動きは僕なりに経験したことでもあり、良く理解できましたから、人に言えるようになったことを素直に喜んであげられたんだと思います。オープンゲイの元上司には、言いやすかったというのもあるようでした。

そして次にオフィスに訪ねてきた時は、彼は完全な女性になっていました。ハイヒールをはいて、スカートをはいて、髪は金髪のボブ。胸の膨らみも自然にあるように見えました。

普通に、きれいな女性でした。

驚いたのは、声も、話し方も、変わっていたことです。

他のスタッフは、皆、日本から来た日本育ちですから、なかなか目にしない光景に目をパチクリ。彼女の決心と覚悟に圧倒されていたのだと思います。

ロシア系の男性の名前だった彼は、「ミッシェル」という女性に生まれ変わったのです。

ハワイにいる彼女と我々が、日本のスタッフとスカイプ会議をすることがありました。あらかじめ説明はしておいたのですが、「彼」を知る日本の皆は、すっかり驚いていました。

その後も彼女は、どんどん女性らしさを増し、「自分らしさ」を身につけていきました。今はどこでどうしているのかな。確か、ストレートの男性と結婚するんだと喜んで話してくれたのが、彼女と最後に会った時だと思います。

女性に生まれ変わり、ストレートの男性と結婚をするのか…。

自分の想像力や既成概念の枠組みをグイグイっと広げられるような人生のストーリーでした。

彼女の勇気に比べたら、ゲイであることなんて、何でもないやとあらためて思いました。なんだ、単なるゲイ?って感じで、ほんとに何でもないこととして聞こえますよね。何、悩んでんの?みたいな(笑)。(昔も今も、僕は悩んでないんですけど。)

僕らスタッフは、あんまりこのことを公に話し合うことはありませんでした。彼女があまりにも自然だったし、幸せそうだったからだと思います。もちろん、彼女がきれいな女性になってたから、というのもありますね(笑)。大真面目なんだな、こいつはって、皆が真剣に応援せざるを得ない雰囲気でした。

※写真のネイルは、友人のFacebookから借りたイメージです。こんなネイルが似合う、素敵なレディになっていたのでした。

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