「ありのままの自分を好きになる」ライフコーチ体験の極意とは

なりたい自分になって夢を実現するために、自分自身を習慣的に改良する「セルフ・アップグレード」についての連載第12回です。

ハワイでエグゼクティブ・コーチについた時の体験が素晴らしかったので、数年後、永住権が取れて晴れて独立が許された時には、自分もコンサルタントとかライフコーチとかを仕事にしていきたいなと考えるようになりました。

当然のことながら、小さな島のハワイには、資格を得たり、学んだりという場がなく、ネットでいろいろとリサーチをして辿り着いたのが、アンソニー・ロビンスも多大なる影響を受けたNLPのプラクティショナーの資格です。

資格を与えるスクールは数多くあれど、何しろ英語だし、それも2週間の合宿制度で、壮大な時間とお金がかかるもの。どこにしようかの判断で迷いに迷うはず。普段の自分なら、及び腰でとても先に進めないような状況であるはずなのに、なぜか、あるひとりの講師のウェブサイトに辿り着き、「あ、この人のところがいいや」とすんなり思えたのでした。

フォームで申し込むと、彼から電話が来ました。30分ほど話をする中で、自分がクラスを皆で受けたり、実習をするのに英語が不安だと話すと、「今の会話の中では一度も不安を感じさせるようなところはなかったよ」と言ってくれて、すっと動けました。

2週間も会社を休んで、一度に受けるのはかなり難しいなと考えたので、ベーシックコースの8日間と、マスターコースの7日間を3カ月という期間を空けて別々に受けることにしました。コース修了時には、NLPマスタープラクティショナーの資格と同時に、認定ライフコーチの免状もいただくことができました。

実際やってみたら、NLPのLはLinguisticで言語を意味する言葉ですから、英語の面ではやはり苦労しちゃいました(笑)。毎日の予習、復習がたいへんだった…。

でも、アメリカ国内各地やイギリス、オーストラリア、ロシアなどから集まった10名の生徒たちとのふれあいはかけがえのないもので、初めて会った日から、「許された」「受け入れられた」安心感でいっぱいなのが不思議でした。

ほとんどの人は15日間、通しで講習を受けるのに、自分だけがまた出直しで、別なグループの後半分から参加するという変則をしたわけです。そこも、普段の自分なら、すでに仲良くなったグループの中に、ひとりでポツンと入っていくのは怖い、と怯えてしまうものなのですが、あまり緊張もなく、温かい空気の中にすんなりと受け入れていただき、くつろぎながら後半のクラスも楽しむことができました。

前半分で10名のクラスメートと学び、後半でまた8名程度のクラスメートと学び、他の人の倍近い生徒たちと濃い時間を共有できたのはラッキーでした。

様々な人生を知りました。様々な痛み、傷、希望、夢、生きがいを目撃しました。ほとんどの人が、何らかの形で「心を癒やされた」体験を持っていて、だからこそ、その素晴らしさを、ライフワークとして人にも提供できたらと望んでいるのでした。

実は、一番、壮絶な過去を持っていたのは、僕よりも5つくらい年下の男性講師C氏です。ここでは詳しく書けませんが、彼の人生のストーリーを聞いた直後は、ズンと重く沈んだ心を持ち上げていくのが難しいくらいでした。でも、その彼を立ち直らせたのが、精神科医でもなく、抗うつ剤でもなく、スピリチュアル・コーチや、ライフコーチとのセッション体験だったということからも、自分の選択は間違いではなかったな、と思えました。

彼の教えの中で、毎朝、必ず繰り返されるフレーズがあり、彼の描くピラミッド図は、生徒たちの心にも深く刻まれました。ピラミッドの下から、「セルフラブ」 ⇒ 「ゆるし」 ⇒ 「人生の目的」 と上がっていく図です。

人が抱える多くの悩みは、根源を辿ると、自分で自分を愛せていないことが原因となっているのだと彼は説きます。自分を無条件で受け入れる、Unconditional Love(アンコンディショナル・ラブ=無条件の愛)に目覚めさせてあげることが、プラクティショナーとして、クライアントにすべき第一歩であると。

それができるようになったら、次に自分を許し、他者を許し、過去を許すステップへ移ります。

それが十分にできてから、ようやく人は過去や他者の目と決別ができるようになり、人生の目的に向かって歩いていくことができる、というのが、C氏の教えです。

それは、NLPとはちゃんとつながっていますが、ダイレクトにNLPのテキストにあることではなく、彼の豊富なセッション経験から導かれた摂理です。

何度も繰り返されるデモセッションを通して、自分の心の奥底に潜んでいた、ある「塊」を溶かすことができたのも、僕の中に存在している「無条件の愛の泉」がなせる技でした。自分を癒しているのは、紛れもなく自分自身。そして、その泉は決して枯れることのないということも知りました。

この体験は、僕に「北風と太陽」のストーリーを思い出させます。

人を力でねじ伏せるようにして変えようとしたところで、皆、かたくなにコートの襟をつかんで心を閉ざすばかりで、事態は悪化するばかり。

太陽のような愛情をベースにしてゆっくりと照らし続けてあげれば、内側から温まって、人は自然にコートを脱いでいくものなのです。

この体験以降、僕の人との関わり方は根本から変わっていきました。人との向き合い方も変わりました。

経営の現場では、社員教育がつきものですが、その方法論も接し方も変わりました。身近で見ていてくれた人たちは、それを「愛情ベースの教育」という風に表現してくれたりもします。

しかし実際、僕の口から出てくる言葉は厳しいものばかりです。強い言い方をして、泣かせたことも多々あります。が、そのことが結果、その人のためになるのが分かっているからこそ、あえてやることです。

僕の前で涙を見せた彼らにも、そのことはちゃんと通じていて、だから、恨まれるようなことはなかった、と自分では信じています。

ライフコーチのセッションで人を泣かすことは滅多にありませんが、たまにあります。泣かせようとして泣かせているのではなく、心の中にある「塊」に何かが触れ、溶かし始めた時、それは涙と一緒になって表に流れ出してくるのです。

それは、「浄化」です。心のデトックスです。次のステージに進んでいくためには、そのステップが不可欠なのです。

プロのコーチは、何重もの層になった鎧の奥に注意深く隠されている「塊」のありかを探し出すことのプロだし、それを溶かすことのプロだと言えるでしょう。

僕のライフコーチ・セッションを受けた方々は、例外なく「自分を好きになる」ことができています。自分を認め、自分を褒め、自分をリスペクトし、自分を愛せています。

だからこそ、人も愛せるし、リスペクトできるようになるんですね。

そして、自信を持って、より明るい未来へ向けて、セルフ・アップグレードにいそしんでいけるようになります。

⇒ 第一回 2015年を「セルフ・アップグレード」元年に
⇒ 第二回 伸び悩んでいる人に共通する5つの問題
⇒ 第三回 変化に適応できた者だけが生き残る「適者生存」。自分を改良し続けて進化する必要があるのです
⇒ 第四回 「思考は現実化する」「引き寄せの法則」のウソ、ホント
⇒ 第五回 自分を改良して進化する「セルフ・アップグレード」3つのステップ
⇒ 第六回 ステップ1 「心のブレーキを外して本当の自分を知ろう」
⇒ 第七回 ステップ2 「人生のビジョンを描いて計画に落とす」
⇒ 第八回 ステップ2 ライフプランが書けない理由と対策
⇒ 第九回 ステップ3 「自分を磨き続けて夢の実現を加速させる」
⇒ 第十回 成功のらせん階段を登り続ける
⇒ 第11回  ハワイNo.1ライフコーチから学んだ3つのかけがえのないこと