「経営者を育てるハワイの親、労働者を育てる日本の親」なにはなくても自己肯定感

30半ばでアメリカの高等教育を受けて

30代半ばにしてハワイの私立大学でMBAを取得したのですが、本格的にアメリカの教育を受けて驚いたのは、自主性、積極性がないと、点数も取れないし、仕組みすらわからないし、結局、卒業が難しいということでした。

そのかわり、求める人間には、とことん尽してくれるし、ちょっとできると、すぐに認めてほめてくれるし、優遇してくれるし、その後も目をかけてくれる。

だから、もっとがんばりたくなる。それが普通に楽しいことになる。だから、頑張れる。

そういう素晴らしい好循環ができているのです。

大人で、後もない状態での結果的留学、みたいな形だったので、万が一、日本に帰ることになっても手に職つけておかないと、食いっぱぐれるぞ、と危機感満載の学生生活。

働きながらで、時間管理もたいへんで、でも、だからこそ、必死で良い成績を残しました。

成績とは、自らの意志で「残す」ものであって、「もらう」ものじゃない、ということも、教わりましたね。

良い成績を残せたので、卒業式では、他と違う「印」となる目立つ紐をかけてくれるし、名前の後に、「With Distinction(優秀な成績で)」とひとこと添えてくれるので、皆にもわかるのです。

成績優秀者しか入れない組織「Delta Mu Delta」からも招待が来て、特別な賞状ももらえたし、このことは当たり前に履歴書に書ける特別なことでもあります。

がんばったことのご褒美が、幾重にも用意されていて、その後の人生でも、もっともっと楽しみながら頑張っちゃおう~という気にさせてくれるんですよね。

うまいな~と思いました。

経営者となる資質を育てるアメリカ教育

ハワイの友人であり、成功した経営者でもあるイゲット千恵子さんが、このたび「経営者を育てるハワイの親、労働者を育てる日本の親」という初めての著書を出版されました。

ようやくキンドル版も追っかけ発売になっています。

サイン本を献本いただいて、早速拝読し、内容の濃さに感嘆。

昨年6月に、六本木ヒルズで行った同テーマのセミナーがありましたが、そこでの内容を下敷きに、もっと具体例も織り交ぜて、日本の皆さんにぜひ読んでいただきたい素晴らしい書籍になっていました。

いつも意識改革をうながしているクライアントさんやら、交流会の仲間にも伝えたくて、先日の交流会では、ミニミニセミナーで本の内容を紹介。

絶賛、おすすめしています。 ↓ ↓ ↓

自己肯定感の高い人間を育てる社会

クライアントと話していて、いつも思うのは、日本はいまだに、とっても「自己肯定感の低い」人々の集まりであるということ。

親が、学校が、社会が、そういう人を育てているんですよね。

で、皆がそのことで苦しんでいるのに、それでも子どもも同じようにしか育てられていないから、負のループがグルングルンと周り続けるばかり。

アメリカ生活23年になりますが、ひとりひとりの自主性、自己責任感、自己肯定感の高さは、圧倒的なものがあります。

「できないのに、できると言うな!」と怒りたくなるほど、I can do it! な態度が根っこに染みついています。

その秘密は、やはり幼い頃からの育てられ方にあるんですよね。

しつけ、学校教育、人間成長を支援するシステム、考え方、いろいろなものがリンクして、こういう結果になっているのでしょう。

ものごとを自分の価値観で、自分で考えて、自分で決められる力。

出した答えに自ら挑戦し、どんな結果も受け入れて、それを糧にし、自分ごととして未来に生かしていける力。

何よりも、自分にはできる、きっとできる、と信じられる根っこの自己肯定力。

それらが身についてさえいれば、社会がどんなに変容しようと、きっとひとりで何とか生きていける。

そんな気がするのです。

お金を言い訳にしないで自ら意識を変える

もちろん、格差はあります。

この書籍に出てくるのは、トップレベルの学校の話だし、意識も高く、経済的に余裕のある家庭の事例が多いのも確かです。

でも、お金だけが、教育の質を決めるファクターではありません。

ハワイ固有の事例も出てきますが、大半はアメリカ全体に渡るスタンダードについて話しています。

本土では、とくに公立学校でもすぐれたところが多くあったりしますので、有名私立校だけの話ではありません。

ハワイからカリフォルニアに家族で移住する人が多い理由は、公立学校のレベルの差にあったりするのです。

高校までが義務教育のアメリカでは、優秀とされる学区の公立に行かせれば、ほとんど経済負担がないままに優れた教育の恩恵に授かれます。

子どもじゃなく、まずは自分に読み聞かせ

この本は、子育て本の形を取りながら、実は、親に読ませ、親に意識改革を迫る本。

そういう意味で、私は全クライアントにマストで読んでほしいと思ってすすめています。

今からでも、遅くなどありません。

なんだ、そうだったのか!

そうか、やっぱりそうか!

目からウロコの発見の連続から、未来がぐんぐん拓けていくきっかけづくりをしていただけるはず。

日本では、今インバウンドがどんどん盛り上がっています。

グローバルな視点を持っているかどうかで、この動きをチャンスに変えられるかどうかも決まります。

ビジネスに、子育てに、教育に、自らのライフプランづくりに。

手放しでおすすめしたい一冊です。