クリスマス・シーズンは寄付金の依頼が郵便受けにいっぱい。人を慈愛に満ちた気持ちにする季節

Toys for tots

クリスマスが近くなると、スーパーやドラッグストアの前では、チリンチリンと鈴の音を鳴らして客寄せみたいな人がたち始めます。

郵便受けには、やたらとダイレクトメールが多くなります。Eメールだって解除したはずのところから再び届いたりします。

すべては、「寄付のお願い」です。

なぜこの時期に集中して来るかというと、理由は2つ。

1.
サンクスギビングからクリスマスにかけてのホリデーシーズンは、「慈愛」のシーズン。「汝、隣人を愛せよ」のキリスト教の国です。教会でも10分の1税と言われて、収入の10%を寄付するのが習わしのような社会。

貧しい方へ。親のいない子どもへ。クリスマスだからこそ、食べ物やおもちゃを買うための基金集めが盛んに行われます。

2.
アメリカは、1月~12月が政府の年度です。税金対策をするなら12月は最後のチャンス。アメリカでは、きちんと認可されているNPO(非営利団体)へ寄付をすれば、それが「税金の控除」としてカウントされます。

企業としては、寄付という形で社会貢献をしながら、それを控除対象にできる。個人も、アメリカでは確定申告を全員がすることになっているので、そこで控除対象にできるのです。

もちろん、控除などなくても寄付をする心が美しい。当たり前ですし、そういう純粋さは大切なわけですが、普通に考えれば、企業があえてNPOに寄付をするような発想にはなっていきません。企業としては、宣伝効果にもなり、さらに税金控除にもなる、という大義名分が立つから、役員会や株主総会でも、企業活動として行うことが承認されるわけです。
確かに宣伝行為なのだけど、そのお金の行き先はメディアや広告会社ではなく、「お金を必要としている人」であり、「その人達のために善きことをしている団体」です。動機の不純さを問うよりも、お金が川のように、必要な人のところへと自然に流れていく合理的な仕組みを構築し、機能させられていることに目を向けた方が得策です。

ハワイで「寄付金を税金控除対象にする資格を持つ」非営利団体の設立に関わったことがありますが、準備にものすごい時間もかかりましたし、何よりも「公共性」や「事業の存在意義」が真剣に問われました。

政府としても、税収を失ってまで支援していくわけですから(そう、これは政府からの支援と同じことなのです)簡単に誰でも認めてしまっては意味がありません。

10年くらい前から、ふとしたきっかけで寄付を始めた団体があります。それがトップの画像の「Toys for Tots」。身寄りのない幼児や、貧困家庭の子どもたちに、クリスマスのギフトであるおもちゃをプレゼントするプログラム。海兵隊予備部隊が組織するNPOです。

10分の1税とまではいきませんが、20分の1くらいの収入を自分が賛同し、支援したい団体に寄付をしていますが、クリスマス前になると思い出すのがToys for Totsの活動です。

クリスマスは、宗教に関係なく人を神聖な気持ちにし、慈愛に満ちた思いを呼び起こすシーズンです。

最近恒例になったマイケル・ブーブレのクリスマス・コンサート in ニューヨーク。今年もNBCで放送されましたが、クラッシックな装いで良かったなあ~。この季節はスタンダードが似合いますね。2013年の放送はYouTubeでご覧いただけるようです。

メリー・クリスマス&ハッピー・ホリデイ。