あなたはいったい誰なのか? 自分をブランド化するために有効な3つの質問

本編オリエンテーション

ライフコーチを受けるクライアントさんの多くは、「自分らしい生き方をしたい」とおっしゃいます。

という割には、自分らしさって何かってことが見えていなくて、それを探すために、手がかりがほしくて、訪ねてくれたりもするわけです。

正解のない世界で自分だけの正解を模索する

私たちは子どもの頃から、ひとつだけの正解を求め、それに自分を当てはめようとして、生きてきました。

そうすることを求められ、それができる人が、「優秀」と認められてきたからです。

実際、社会的に見ると、正解はひとつのことに集中していた時代でもあったかもしれません。

マジョリティが同じ価値観を共有し、同じゴールを目標とし、同じことに幸せを感じられた時代も、確かに、なかったとは言えません。

そういう時代背景に生きてきた人たちが、今、大人になって、人生の真ん中あたりにさしかかって、いや、やっぱ違うだろう、そうじゃない生き方をしている人たちがいっぱいいるじゃなないか、と気づき始めている。

そもそものベースにあった終身雇用制とか、豊かな年金/医療制度とか、悠々自適な余生、というものが崩れましたからね。

そして同時に、多様な生き方や価値観が、ネットを通じて、透けて見える時代にもなった、というところが、大きな変化かもしれません。

書くにしろ、歌うにしろ、絵を描くにしろ、声を出すにしろ、服を創るにしろ、写真を撮るにしろ、ジュエリーを創るにしろ、「自分らしさ」は必ず必要です。

工場の機械ではないので、誰がやっても同じものを生み出しても、価格競争に飲み込まれて、高い値段で売ることはできません。

それどころか、買いたいって思ってくれる人すらいない。売れる自分になれないのですね。

「あなたは一体誰なのか?」を知ることがすべて

では、「あなたらしさ」とは何でしょう?

出る杭は叩かれるという文化背景もあったりして、私たちは、つい自分を表現することを恐れてしまいます。

わがまま、自己中、そんなことを言われ、人と違うことを指摘されることが、怖くて仕方なくなる。

だから、多かれ、少なかれ、自分を押し殺して生きてしまっているものです。

それは、アメリカでも、程度の差こそあれ、似たところはあります。

ただ、それを良しとしない、もっと自分らしさを表現しないと成功できない、あなたらしさを解き放ちなさい、Let it go~!ということが激しく奨励されるのもアメリカです。

アメリカでテレビを見ていると、あちこちで、こんな言葉が聞こえてきてドキドキします。

「I don’t know who you are as a singer from you」(あなたがいったいどんな歌い手なんだか、今のあなたの歌からは全然見えないわ)

「I don’t think you have found who you are as a designer yet」(あなたがどんなデザイナーなんだか、あなた自身、まだ見えていないようね)

上の例は、例えばアメリカン・アイドルなどの歌のオーディション番組で、審査員が言ったりします。

下の例は、プロジェクト・ランウエイというデザイナー発掘の勝ち抜き番組で、審査員がよく言うことです。

私がリアリティ番組が好きでしょうがない理由が、こんなところにあります。人の成長物語を目の当たりにできるんですよね。

言われた本人たちも、そのことに気づいているし、回りも分かっている。

歌は、技術的には上手いのだけれど、そこにその人らしがない。感情がない。痛みがない。魂の叫びがない。だから、感動しない。

服は上手にできてるんだけど、それは誰がデザインした服なのかパッと見てわからない。主張がない。思想がない。めざすものが見えない。

そして、その「Who you are」とやらが見えない限り、必ず、彼らは途中で敗退していきます。

勝ち抜くのは、とても強い個性を持っている。つまり、Who you areをわかっていて、それをきちんと表現手段に昇華することへの格闘にコミットしている人々だけなのです。

「自分らしさ」こそが差別化の鍵

とくにファッション・デザイナーの番組では、この、「Who you are」を表現するために必要なエッセンスを、aesthetic(エステティック)という言い方をします。

日本語のエステの元になった言葉で、美、とか、審美的なとか、「美学」のようなことを表す言葉です。

ここで使われているのは、あなたらしい美しさの表現の仕方、ってことなのか、美的思想が表現された、あなたらしい味わい、とでも言おうか。

そういう深い言葉で、なかなか訳は難しいですね。

芸術的な分野でない場合には、そこまで行かないにしても、自分らしさを表現すべきときに、自分らしさが見えてなくては、何もなりません。

自分らしさは、イコール、差別化につながります。

手段として誰かの真似をしても、際立つ成果は残せなかったりしますから、やはり大事なんですよね。

Who you areを見つける3つの質問

では、それはどうやって見つけるか。

まずは、自分に問い正してみることです。そして、自分をいろんな角度から、「丸裸」にすることです。

役立つのは、こんな質問です。

1.あなたの好きなものは何でしょうか?

2.あなたが信条とすることは何でしょうか?

3.あなたの過去における特徴的な体験はなんでしょうか?

それらを思い切り、並べあげてみて、そして、「組み合わせる」。

ひとつひとつは、他の人と同じであっても、組み合わせることによって、とてもユニークなものが生まれてきたりもするのです。

例えば、私で言うと、好きなものというと、こんな言葉が並びます。脈絡など気にせずに、思いつくまま、どんどん並べていきます。

「読書、書くこと、野菜ジュース、果物、ヘルシー、マラソン、自由、リラックス、多様性、LGBT、おおらか、自然、優しさ、歌、映画、効率、生産性、進化、コンシャスライフ、表現、成長、未来…」

信条とすることで言うと、「誠実、嘘をつかない、有言実行、率先垂範、貢献、思いやり、厳しさ、成長、進歩、ミニマリズム、豊かさ志向、多様性、健康意識、環境意識」などが並びます。1と2は、結構、共通する言葉が出てくるものだな、ということが分かります。

嫌いなもの、避けたいこと、許しがたいものなどを意識してみると、自分が実は大切にしていることが見えてきて、役立ちます。

ときに、好きなことの中で、あるいは、好きなことと信条とで、矛盾が起きている場合もあります。

でも、人間はとても複雑な生き物なので、それ、おおありだと思います。

リラックスしてて、ゆるゆるなスタンスでいながら、でも効率は重視して生産性を極めることを毎日目指していたって、別にいいですよね。あるいは、時と場合でそれを使い分けるとか。当たり前にあることです。だから、気にしない。

過去における特徴的なこと、というのは、生まれた場所とか、どんな親とか、家庭環境とか、学歴とか、そこで残した成績とか、所属した部活動とか。社会に出てからは、どこでどんな仕事をしたのか。どんな責務を負ったのか。そこでどんなことを身につけたのか。何のエキスパートなのか。資格は? 住んできた場所は? とか、ありとあらゆることが当てはまっていきます。

私は、バブル期に広告業界で働き、32歳でハワイに移住、MBA取得、PR会社の副社長からメディアの編集長、社長、ロサンゼルスに移住、独立…とか、そんなことと一緒に、マラソン歴とか、ベジタリアン/ヴィーガンになったこととか、そんなことも特徴的なこととして含まれていきます。

あと、とっても大事なのは、「どんな失敗をしたか」「どんなひどい目にあったか」、そして「そこからどうリカバリーをしてきたか」という、人間ドラマのストーリーです。

ストーリーこそが、人を引き付ける、最大の魅力となるんですね。

かけ合わせれば唯一無二の存在になっていく

もしかしたら、無限に書けるかもしれない、これらのことを、上手に組み合わせた時、それはとてもユニークな「自分らしさ」となって、外からは見えてきます。

ハワイで17年、LAで5年。海外生活も22年になろうとしていて、かなり真剣なベジタリアンで、マラソンも3時間半で、50歳過ぎて独立して、ライフコーチとかわけのわからない仕事で生計立てて、ビバリーヒルズの近くに住んでて、22年前に出会ったゲイのパートナーと今でも一緒に暮らしている。

そんな人、多分、ふたりといないのです(笑)。

ここに、数々の失敗や、どす黒くて、思い返すこともできないほどの暗い過去の話とか、悩みとか、失望とか、挫折とか、自分なりのどん底体験なんかを織り交ぜていったら、もう、同じ人などどこにもいない。

まさに、今、また売れてる「世界にひとつだけの花」なわけです(笑)。

でも、これらは、ちゃんと「使って」こそ、なんぼです。

隠していても、それは特徴にはなりませんよね。だから、何度も何度も、これにひも付いたことを、書いたり、載せたり、言ったり、主張したり、するわけです。

表現のネタとして、その背後にある思想として、これらを含めていく。しつこいくらい、やる。文脈の中で、きちんと具体的に表していく。

ああ、この人は、こういう人なんだなあ、と回りから決めつけられても構わない。そういう覚悟を持って、やる。

それでやっと、特徴として、「人から見える」ものになっていきます。

丸裸になるのは、恥ずかしいものですが、一度なってしまえば、風通し良くて、気持ちいいものです(笑)。

隠すことがないって、いいものです。

ただ、多くの人は、まず自分で自分を知りません。

だから、上記のような質問が効果的です。

こういう話を、整理してわかりやすくまとめているのが、下にリンクをした本田直之氏の「パーソナル・マーケティング」。

自己表現を覚えて、マーケティングに活かしたいというクライアントさんには、必ずおすすめしている一冊です。

ここに書いたキーワード的なことを、著書では「タグ」という言い方で表現しています。タグだから、名詞も動詞もフレーズも形容詞も、何があってもいいんですよね。

自分につける、#ハッシュタグってことです。

自分で自分をプロデュースして、意図的に「出る杭」になりましょう~!

(トップに貼り付けた写真も、いろんな意味で、自分らしさを演出して撮ったものだったりします。)

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