変化が酸素。変化し続けてないと息苦しくなってしまう体質のようです

皆さんは変化と安定、どちらが好きでしょうか? 

僕はどうも安定が苦手で、同じ環境の中にずっといると、「成長していない」とか「発展していない」とか感じて、息苦しくなってきてしまうようです。途端に水面から口をパクパクさせる魚のように苦しく感じてしまう。20年前に日本を出る前は、本当にそういう状況にいたのを覚えています。

バブルがはじける以前の高度成長期から超好景気の状態に向けて加速した日本全国を覆い尽くす価値観が苦手で困りました。大学時代は社会が良しとするスタンダードとうまく折り合いがつけられなくて、著しく暗い時代を過ごしました。自分とは相入れにくい確固たるものができあがって頑として動こうとしないことに、恐怖に近いものを感じていました。

ハワイの仕事場ではかなりめまぐるしくいろんなことが起こっていました。いつもイベントがあり、アップデートすべきウェブがあり、本の出版時期という締め切りが2-3ヶ月に一度、迫ってきてドラマを作っていました。

だけど、島の社会を覆う空気はとくに変わらなかった。

「Don’t work too hard!」って、会社を先に出るロコのスタッフが同僚に向けて言うんですよね。言っている方は純粋に思いやりだったり、良いこと、として言ってるんですけど、初めて聞いた時は、かなりカルチャーショックでした。

成長へのモチベーションがないはずはないのに、居心地の良い家族的雰囲気を守ることが優先で、それはもちろん一般論としては大好きだしリスペクトしていますが、でも人間としての成長、改善、というポジティブな変化を求め続ける貪欲さには縁遠い社会でした。お金持ちへの憬れが強い社会ではあるんですけどね(苦笑)。

となると、なかなか生きがいを感じにくくなり、やむを得ずジリジリしていってしまうのが自分なのです。それは変えようがなかった。

しかし、そういう人が当たり前なわけではなくて、どちらかというと逆かもしれなくて、変化が苦手、安定が大好きで「必要」という人もたくさんいるわけです。今はわかるようになりましたが、以前はそれが理解できなかった。だから人とうまくいかない時があった。社会を構成している人はそれぞれに違う個性、特性を持っていて、だから良いのだ、ということが実感できていなかった。

朝令暮改は時にリーダーとして必要なことなのですが、それをする時には、慎重にチーム全員と心を開いたコミュニケーションをしていかねばならない、ということを知ったのは、社長になってずいぶんと後のことでした。同じように皆が勝手に理解して、感じ取ってくれてるとばかり思っていたら、「ついていけない」「また変えた」とそっぽ向かれてしまったことも多々ありました。

人は皆、意味のわからないことはできないもの。動けないもの。だからこそ、説明責任をきちんと果たして、皆が感情レベルで飲み込んで、納得づくで「よし、やろう!」と思ってくれなければならない。そこに時間をたっぷりとかけるようになったら、人との関係づくりははるかに楽になりました。

自分を知ること。人を知ること。そして心を通わすこと。

それぞれに奥深く、だからこそ面白いことだなあと感じ始めてから、社長という立場が楽しめるようになりました。

とあるポッドキャストで「チームビルディング」のことを話していて、変化が好きな人とそうでない人とがいるんだってことを覚えておかないと、って話をし始めて、まったく同じ失敗談を語っていたので思わず苦笑いしちゃったのでした。