人気本「嫌われる勇気」を読んで考えた。本当のテーマは深い自己受容

「嫌われる勇気」かあ。まったくないなあ…と思いながら、そのタイトルに惹かれて思わずKindle1クリックボタンをポチっとしたのが4カ月くらい前でしょうか。そしてやっと読めたのが2カ月前。おお、早く読めばよかったとつい思えるほどに良書でした。

アドラー心理学という、一応大学で社会学&心理学を専攻していた自分も聞きなれない学問が根底に流れるテーマで、フロイトやユングという馴染みの学者さんたちが唱えてきたこととは、ずいぶんと角度の違うところから攻めてくるので、実に戸惑います。

ストーリー仕立てで、その心理学を説明する人が哲学者だったりするものだから、より、それって心理学?っていう感じの説き方になっていて、スピリチュアル系の話にすら思える場面も多々あり。

勝間さんの「断る力」を思い出す

自分がこの本に惹かれた理由は、きっと数年前に読んだ勝間さんの本「断る力」に惹かれたのと同じ理由なんだろうな、と思います。自分はその力がとても弱いと自覚していて、経営の場面では強くもなれるし、嫌われても全然平気なくらいにNoを言えたのに、個人のことになると途端に弱くて困ってました。

あちこちいろんな役員にさせていただいたりしたのも、そうやって個人レベルでいただくお話が断れないから。ひとつは欲張りで、何か美味しい話があるのではないかと思ってしまったり、もうひとつは人のガッカリする様子を見たくないからだったり。

だから「断る力」はとても新鮮だったし、役に立ちました。優先順位をつけていく時に、どうしても一番最後になってしまいそうな「自分」の存在、「自分」の希望や意志を、ちゃんと尊重してあげられるように段々となっていったから。

批判もある本だったかもしれないですが、そんなことはどうでもいいのです。本も映画もTVも何でも、個人のその時々の状況によって響く、響かないがある。その時の自分にはまさに必要な書で、導きの一冊でした。

無条件に自分を受け入れて全責任を負う

「嫌われる勇気」もその系統の本かなと思ったら、ちょっと違いました。相当、深かった。タイトルのつけ方がお上手ですね。でも別に嫌われろ、ということを書いているわけじゃなくて、あくまでもテーマは「自己受容」です。

言ってみれば、「人があなたを嫌いになろうとどうしようと、それは他人の中のできごと。あなたはあなたの人生のタスクに集中していれば良い」ということ。正確にはタイトルはちょっと間違いというか、嫌われる、という概念すら、すでに超越したところに身を置くわけなんですね。

ああ、これはNLPやライフコーチのセッションで自分が話している「無条件のセルフラブ(Unconditional Self-Love)」とまったく同じことだ、と気づきました。無条件の自己受容。他人からの承認を元に自己を許容して良いサインとするのではなく、あくまでも自己完結でなくてはならないわけです。

アマゾン日本版の評も、これに関してはひじょうに良かったです。皆が衝撃を受けて、ひじょうに真剣に語っています。あまりに深くて、理解がぼんやりしたまま。だから、関連書籍もつい買ってしまいますね。タイトルに惹かれて買ったが、違う意味で驚き、そして感銘した、という感想がほとんどです。

この本を読んで楽になれるのか、というと、実はそうじゃなくて、今まで他者の責任にしていたことを全部、自分で背負わなくてはいけないし、言い訳を許してもらえなくなるので、やらざるを得ないところが辛いかもしれません。

だから、言い訳している自分が嫌で解放されていきたい、前に進みたい、上に上りたい人にはまさにショック療法だけれども打ってつけでしょう。対人関係に悩む人はぜひ一読すべきです。

コメント

  1. アドレリアン より:

    はじめまして。
    ブログを拝見させていただきました。
    『嫌われる勇気』読書会&講演会にご参加されると
    より深く理解されるかと思います。
    よろしければぜひご参加ください。
    11月09日(日)13:30~
    新大阪丸ビル新館 609号室 
    [email protected]
    http://www2.ocn.ne.jp/~cerulean/301.html