走ることが生活の一部になって本当に良かったと思う5つの理由

週に3~4日は走っていますが、距離は大会のスケジュール次第でまちまちです。多い月でも200キロをやっと走れるかなあという程度で、少ない月は100キロも走っていません。ログ取りが苦手なので(笑)、正確に図れた試しがないのですが。

初マラソンは1998年暮れのホノルルマラソン。それから15年半。まだそんなものか、という印象ですが、とにかく今は走ることが生活の一部になって本当に良かったと思っています。その理由をまとめてみます。

1.頭がスッキリする

僕は朝走るのが好きです。起きてから1時間位、本を読み、考え事をまとめ、コーヒーを飲み、まだ薄明かりの街に出て、始まったばかりの朝の空気を吸うのが快楽そのもの。

足はポンプの役割をするので、走ることで刺激されて血液が身体全体を駆け巡ります。10分、20分と経つ頃には全身がポカポカ。汗が滲んで毛細血管まで酸素が染み渡る。

血液は脳の隅々まで巡り、古い要らないものを汗として排泄しながら、新しい生命の源を送り込んでくれる。昨日のまま滞っていた悪い考えはどこかに消え、鮮やかで希望に満ちた意識に取り替えてくれるようだ。

ハワイにいた頃、アラワイ運河沿いを走りながら、怒りや焦りや虚しさや悲しさや奢りや妬みといったような心の老廃物をいったいどれだけ捨ててきただろうか。ある時期は本当に乱れていて、走っていなければ自分がどうなってたか分からないほど。僕は明らかに走ることによって救われてきたと思う。

2.成長感がある

走ることで、僕は日々、成長する感覚を味わっている。昨日できなかったことが今日はできるようになる。人間として、生命体として進歩し、進化していく感覚。筋肉は使えば使うほど研ぎ澄まされたナイフのようにシャープになる。どこかに眠っているらしい野生が目覚めていく。

とくにレースに向けて練習メニューをこなす時。先週はきつかった20キロが、今週末はちゃんと少しだけ楽にできるようになっている不思議。身体の超回復のメカニズムは素晴らしい。だから、今週きつかったペースも、来週にはきっと少し楽に走れるようになっているんだろうなと信じることができる。

それは走ることだけにとどまらず、全ての側面において自己肯定感を高めてくれる。今はこんな自分だけれど、続けていればきっとできるようになる。そう信じながら小さな失敗や挫折をいくつも乗り越えていければ、人はさらに強くなれる。

年齢を重ねるごとに、進歩を感じられる機会は少なくなるが、走っていればそんなこととは無縁なんだ。

3.健康に自信が出る

説明するまでもないけれど、有酸素運動の代表だから、ランニングを習慣にしていれば太りにくくもなる。生活習慣病にかかりにくくなる。血はいつもきれいなままだ。

心臓も肺も、鍛えればちゃんと機能が向上する。まるで原付きバイクがV8のエンジンになったかのように、一回の伸縮で大量の酸素を全身の血管に巡らせてくれるようになる。人間が生きるのに必要な基本的機能が鍛えられることは、健康への不安を払拭してくれる。

昨年の暮れから今年の春にかけて、マラソンで記録を作ろうと思って、密かに10ポンドくらい(4キロ強)減量をしてみた。少しだけ食事を減らし、少しだけ走る量を増やしたら、スルスルっと体重が落ちていった。長いこと見たことのなかった60キロ台にまた戻ることができた。

身体が軽くなると、心も軽くなるようだ。いろんなものを断捨離しつくして辿り着いた今という瞬間をとても愛おしく感じることができるようになった。心身共に健康であることは、人に計り知れない幸せ感を与えてくれるもののようだ。

4.粘り強く、逆境に強くなる

マラソンは長い。マラソンに向けての練習も、とても長丁場。3カ月間は、予定を崩さず、さぼらず、怠けず、きっちりとすべきことをしていないと望む結果など出ない。

もともと計画性に欠ける方なのだが、マラソンのおかげで多少は逆算思考が身についた。少し計画が狂うと、また練りなおして、何とか帳尻を合わせていく。その過程もまた楽しい。諦めずにいれば、どこかでちゃんとうまくできるようになる。

そんな風に日々のすべても対処するようになったから、なかなか諦めることができにくくなってしまった(笑)。もちろん良いことなんだけど、前よりももっと欲張りになってしまったかもしれない。

5.コツコツという継続的努力の成果を信じられるようになる

今、僕は3時間30分というボストン・マラソンに出られるくらいのタイムに挑戦しつつ、切れるか切れないかの瀬戸際でウロウロしている。でも、そこにたどり着くのに実に15年半かかっている。

最初のレースは5時間40分。それから4時間半になり、20分になり3時間58分になり、48分になり、38分になったのが2年前。そこで足踏み中。二度連続で4時間を切った後は、実は8年以上、4時間15分前後をウロウロしていた。身体も気持ちも、自分なりに長いスランプ時期だった。LAに来てから、涼しい気候と新たな生活環境に刺激されてか、急にタイムが上がってボストンが現実味を帯びてきたんだ。

足踏み中ではあるけれど、例えば10キロやハーフをやると、以前よりはるかに楽に速く走れる自分がいる。持久力だけではなく、走りにスピードがついてきてはいる。だからちゃんと身体は変わってきているんだと分かる。それもコツコツと練習を重ねてきた結果だ。
コツコツの積み重ねは、目に見えた進化はしなくても、ある時、複利の効果みたいなもので、グンと鋭いカーブを描いて成果を見せてくれる。

読書や勉強なども、短いスパンでは成長を感じられないけれども、長い目で見たらやる人とやらない人との差は歴然と出てくるものだ。そういうことが身体感覚で理解できるようになったから、良いと思ったことは疑わずに淡々と長く続けられるようになったんだと思う。

皆さんもぜひゆっくりジョギングから始めてみてはいかがでしょうか。まずは散歩から。そして5分のジョギングから一歩ずつ。僕も公園を5分ジョギングするところからのスタートでした。コツコツ、コツコツ。でも意外にアッという間に1時間くらい走れるようになっちゃいます。人間の能力を信じて続けてみてください。