それはなぜ「年内には」なのか? 無意識に締め切りを延ばしている自分に気づいて行動を加速する

july1
日米共に7月になり、ついこの間、明けたばかりと思っていた2016年も、あと半分です。

この辺になると、クライアントさんとセッションしていて、よく出てくるのが、「年内には」という魔法の言葉。

転職の話だったり、移住の話だったり、起業の話だったり。

トピックスはいろいろですが、さて、じゃあそれらの目標をいつまでに達成しましょうか、というゴールの話になると、決まって「年内までに」という言葉が出てきます。

経営者時代によく聞いた「週末までに」と似ている響き

私にはフラッシュバックする記憶がありまして、それは経営者時代のスタッフたちの締め切り設定のマジックワード「週末までには」です。

それが月曜でも、火曜でも。

ちょっと難し目なことを頼み、「いつ頃できる?」と聞くと出てくるお決まりの答えが「週末までには」という常套句。

いや、それ、時間がかかることではないはずだけど、そんなに忙しいの?と聞くと、そうでもなさそうで、きまり悪そうにしています。

要は、何の事はない、やり方がわかってない、何を本当に頼まれているのか、少し考えないと見えてこない、手順がわからない、どう始めていいかわからない、どのくらいたいへんでどのくらい時間がかかることなのかが見えない。

だから、時間稼ぎをしておこう、というのが本音だったりします。

人はつい、やり方を知っている慣れたことを優先してしまう

実は、自分もよく使うのです。これ。

自分の場合は、もっと始末が悪く、「週明けには」という言葉を便利に使う癖があり、なんのことはない、フリーな立場を良いことに、どうせ金曜に提出したところで、相手方は週末だし、何もしないだろうというのを読んでいる。

だったら、土日にやれば同じことだよね、と、バッファをずらしているだけ。

で、結果、週末、皆が休んでいる時に働いたりしていました…。やればいいだけなのに、なんだか面倒くさそう、考えるのに時間がかかりそう、あるいは、「どうやっていいか、今はちょっと見えない」。

新しいことだったり、慣れないことで、すぐに、簡単に、やれる自信がない、という場合に、この言葉が出るケースが多いです。

人は皆、放っておくと、「やり方を知っている」「慣れている」ことを優先してしまうものです。

簡単なこと、あるいは本人にとって、簡単、と思えること。

未知のことは、ついつい億劫で、先延ばししてしまう習性があるようです。

自分がそんな先延ばし戦略を上手に使う習性を知っているので、人の先延ばしワードにも敏感なのかもしれません。

年内に、という言葉を言ってくるクライアントさんたちに聞いてみても、本当に年内いっぱい時間がかかるケースはありません。

なんとなく区切りがいいという「切りのいいタイミング」を言っているだけのこと。

だったら、別に2ヶ月後でも、3ヶ月後でも、別にいいのです。

いや、勢いがついている、今すぐやることの方が、はるかに結果にとっては良いのです。

大きな山も一歩から。
まずは山を崩し、「今日から」始める

ライフコーチを雇うくらいに、真剣に切羽詰まった思いでいるクライアントに対して私ができるのは、クライアントの「先延ばしワード」をすかさずキャッチして、突っ込みまくって、今すぐ行動に移させることだと思っています。

そもそも、大きなプロジェクトは、小さなタスクに落とし込んでいかなければ先に進めません。大きな山も、常に最初の一歩を踏み出すところから。

でも、たいていの場合は、その一歩が出ないがために、結果に結びつきません。

セッションでは、だからこそ、必ず「次のセッションまでにやること」を決めます。

明日、何をやる、今週何をやる、来週、何をやる。

今月やるべきことの内、今、どのくらいまで進んでいるかを週間レポートで報告してもらうケースもあります。自主的にやってくるクライアントさんも多いです。

そんな風に「今、何をやるか」に落とし込まない限り、時間が2カ月あろうと、半年あろうと、結局、やらないで終わることには変わりないのです。

だから、プッシュ、プッシュ。

まずはやるべきことをブレイクダウンして、小さなタスクに崩し、それを週間目標などにはめ込んでいきます。

例えば、転職、というプロジェクトに関しても、こんなステップがあるはずです。

  1. 転職市場を調べる
  2. 履歴書、職務経歴書をアップデートする
  3. 転職エージェントに登録する
  4. 応募先に合わせて職務経歴書などをふさわしいものにカスタマイズする
  5. 応募書類を送る
  6. 面接をする
  7. 落ちる
  8. 面接をする
  9. 落ちる
  10. 面接をする
  11. 落ちる
  12. 面接をする
  13. 落ちる
  14. 面接をする
  15. 合格する(運が良ければ)
  16. 会社に退社の意思を告げる
  17. 退社時期、発表の仕方、引き継ぎを相談する
  18. 引き継ぐ
  19. 転職前にバケーション?
  20. 転職

やるべきタスクは、山ほどあります。

やってみなければ、見えてこないことも、山ほどあります。

だから、早く始めないと、「年内」なんていう、安全を期してサバ読んだつもりの締め切りも、守れないで終わってしまいます。

そうやって、達成できない目標ばかりが山積みとなり、セルフコンフィデンスを失い、小さなことにも自分には無理、と諦めモードになり、人を妬み、暗澹たる思いで日々を過ごすようなことになってもいいのか…。

やりたい!と一歩動き始めた今がその時。

一度止まった重い車を動かすのは、たいへんなエネルギーがかかります。

今の勢いを推進力として利用して、次から次へと小さな行動を積み重ねることで、さらに勢いはついていきます。

のろのろでも動き始めた車を、一気にアクセル吹かして、スピード上げていくのが、目標を確実に達成するコツ。

年末まで待っても、突然、実力が100倍に増えて、夢の実現が楽になるわけではありませんからね。