レディー・ガガの見事なアカデミー賞パフォーマンスは半年間のボイトレの賜物

一昨日は、年に一度の映画の祭典「アカデミー賞」の授賞式がハリウッドで行われる日でした。渋滞さえなければ、車で10分くらいのところにあるドルビー・シアターを舞台に、授賞式が行われるって、なんかやっぱり感激なんですよね。ミーハー魂がふつふつと蘇り、飛んで行きたくなりました(笑)。

その2日前、ハワイから友人が訪ねてきてくれたのをきっかけに、ドルビー・シアターまで案内したのですが、すでにレッドカーペットはきれいに敷き詰められて、その上にカバーがかかり、インタビューをするための各種ステージが設営され、巨大なオスカー像が道路にそびえ立っていました。

アメリカの各地から訪れている観光客も、偶然通りかかったロサンゼルス市民たちも、一様にカメラを構えて、その様子を興奮して撮影していました。国中が注目するイベントだけあるなあと、他の賞との格の違いを如実に感じます。

ハリウッドの外国人メディアが選ぶゴールデン・グローブ賞(テレビ/映画)や、テレビのエミー賞、ブロードウエイミュージカルのトニー賞、音楽のグラミー賞、そしてこの映画のアカデミー賞が、アメリカのエンターテインメント産業において権威とされる賞の代表的なもので、授賞式は全米にテレビ放映され、各メディアが大注目します。

賞マニアの僕は、必ず全部を録画してジックリと見まくります。それぞれの賞には特徴があり、独自の「カルチャー」と言えるようなものが育っているのが興味深いです。

中でも、アカデミー賞のフォーマル度、格式度は格別。身につけるドレスについても、「これは他の賞ではいいけれど、アカデミー賞向きではない」と言う言葉が批評として聞かれたりするほど、格が違うのです。受賞した人たちのスピーチでの喜びようも、まさかこの大スターたちが…と驚くほどに興奮し、感激し、涙を流したり。

日本にいた頃は、レコード大賞とか歌謡大賞とか、それこそ大好きだったわけですが、賞を辞退するのがカッコイイことというような風潮が一部に見られて、とても興ざめでした。小さな業界の政治的な駆け引きもスケスケに見えてしまって、音楽も映画も、国民すべてがリスペクトする文化として成熟していけない事情があるようにも見受けられます。

アカデミー賞などは、一度取ると、未来永劫「Oscar Winner(アカデミー受賞者の)◯◯さん」と紹介してもらえるほどの栄誉ですし、ノミネートされただけでも「Oscar Nominee(アカデミー賞にノミネートされた)◯◯さん」という言葉で語られます。業界が、そして社会が認め、リスペクトし、育てる文化が根付いていて、権威を権威たらしめるために、「全体が」注意を払っている印象です。

芸術は、それを愛する人たちが自ら育てていかないとと教えていただきます。ましてや、業界の中にいる人たちが、ボイコットとかしている姿は、よっぽど世間に納得いく理由がない限りは、本当はかっこ悪い気がしますよね。

さて、今回のアカデミー賞授賞式で最大の話題となったのは、しばらく表舞台には出ていなかったレディー・ガガでした。グラミー賞の授賞式でもトニー・ベネットとのデュエットで出演しましたが、今回はまさに圧巻のパフォーマンス。

一昨年のアルバムが不信で、極度のうつに悩まされた彼女。一時は死をも考えたということを昨年、インタビューで語って注目を浴びていました。あんなに第一線で大活躍している大スターが、一作の不振でそこまで落ち込むほどの真剣勝負をしている厳しい業界です。

つい先日、俳優さんとの婚約発表で久々、明るい話題を振りまいた彼女。アカデミー賞の授賞式では、世界をあっと言わせるほどの、素晴らしいパフォーマンスで見事に返り咲きました。

もともと歌唱力には定評があって、クラッシックな曲をテレビで歌ったりもしていましたが、名作ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の世界を再現する正統派の歌唱力の持ち主であると証明して見せました。観客はもちろん総立ち。セレモニーの後も、人々の話題を独り占めしています。

そして、下記の記事で初めて知りましたが、このパフォーマンスのために、彼女はなんと半年間も毎日、ボイストレーニングを受けてきたのだそうです。

半年間、毎日。

⇒ Lady Gaga Worked With a Vocal Coach Every Day for 6 Months for Epic ‘Sound of Music’ Performance
  (サウンド・オブ・ミュージックのパフォーマンスのために半年間毎日ボーカルコーチについて特訓)

やっぱりそうですよね。そこなんですよね、と、これを見て嬉しくなりました。

ちょうど「天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある」という本を読み終えたばかりだったので、タイミングもバッチリ。

もともと才能ある人が、さらに努力を続けるからこそ、スポットライトを浴びるにふさわしい活躍ができるのです。喝采を浴びる人には、ちゃんと理由がある。そこまでの真剣勝負をしているからこそ、不振に喘ぎ、心を傷めてしまうのでしょう。

大ヒットを連発しながらも、失敗作と言われて散々叩かれた彼女は、水面下で物凄い努力をして這い上がってきました。あの迫力のパフォーマンスに、有無を言わせぬ努力の成果を見て、観衆も圧倒されたんですね。

セルフ・アップグレードとは、どんなに高みに上がっても、終わることのないエンドレスの旅。まさに、成功する人のライフスタイルそのものであることを実感した夜でした。