「超回復」を信じて心も身体も鍛えてみる

3月以来、長距離練習などほとんどしておらず、しかも3カ月ほど、まともに走ってもいないという状況の中、ホノルルマラソンに向けて5週間のトレーニングプランを作って、走り始めました。幸い、時間が自由になる身なので、中3日で20キロ以上のロングディスタンスを走ることに。

11月9日にトライした初の20キロは、全身がバラバラになるような痛みを感じつつ必死に完走。しかし中3日空けて挑戦した2度目の20キロは、さほどの苦痛もなく走り通せました。

次に中3日空けて挑戦したのは25キロ走。そして30キロ、32キロと4日ごとに距離を伸ばしていきます。

その度に激しく疲労し、もうダメだ…と絶望的になるものの、数日すると痛みも引き、また走る気になれるのが不思議。そして、次に走った時は、同じ距離ならば「確実に楽になっている」のが分かるのです。いつの間にか身体も少しずつ脂肪が落ちて、走りモードに切り替わっているようです。一度経験した痛みや苦しさは、ちゃんと次には耐えられるようになっているんですよね。人間の身体ってスゴイなあと思う瞬間です。

筋肉が強い負荷を受けてダメージを受けた後、以前の状態よりも遥かに強くなって回復することを「超回復」と言います。重いウエイトを持ち上げて限界まで追い込むと、一度は筋繊維がダメージを受けるのですが、その後、太く強く成長していくのです。

マラソンは持久力なので、ゆっくり長く走れるように遅筋が鍛えられます。コアマッスルも強くなって、全身がよりスムーズに負荷に耐えられるようになってくる。効率よく脂肪を燃やしてエネルギーにすることも覚えてスタミナとなる。少しずつ無理しないで続ければ、できないことは何もないのかもしれない。人間の無限の可能性を信じられるようになってきます。

これは身体の例ですが、心にも同じように超回復のメカニズムが備わっていると感じます。僕らは皆、痛みを糧にして強くなっていきます。傷つき、打ちひしがれ、でもそこから立ち直って新たなチャレンジに向かって行くと、以前あった脆い部分は消えて、一本、太い筋が通っていたりします。心にもちゃんと耐性ができている。

だから、人は失敗を恐れずに、痛みから逃げずに立ち向かっていけば良いのだと思います。回復できない痛みなどない、次に同じ痛みが来ても自分はひるまない。自分は大丈夫。そう信じることで、臆病な心が逃げ出していくようです。恐れは恐れを呼び、ネガティブなループに入っていきます。

肉体も心も超回復すると信じて負荷をかけ続ける。もうダメだ…というところまで追い込んでみる。回復のための時間と休養をきちんと与えながら、自分をいたわりながら、限界まで追い込んでみる。するといつの間にか、人は成長し、進化していくのだと思います。

もっと進化した自分に出会いたくて、ついつい次なる負荷を探し続けてしまうのです。