頭がごちゃごちゃしてきたら机を整理整頓。村上春樹さんの書斎に学ぶ

先日、ウエブサイトで村上春樹さんの書斎デスクがご自身により公開されていました。(村上さんのところ「書斎より 机の上の光景」)

僕が大学生の時にデビューされ、それ以来、ずっと大好きで追いかけている方ですが、マラソンを始めたのも、大いに影響があってのことでした。今回、初めて机を拝見して、あれ、なんか似てる、と驚きました。

マシンがマックであることもそうですが、余分なものが基本、置いてないのもそうだし、常に紙とペンが身体の近くにあるのも同じでした。木の香りがするような机の感じも一緒。

違うのは、僕の机は奥行きが深いので、モニターを正面に置けるところ。かつて職場で斜め姿勢で仕事していた経験から、長時間の不自然な姿勢が身体に良くないのを実感しています。なので、モニター位置は重要。

その他にも、春樹さんの書斎には、とんでもない数のレコードコレクションが収められています。なのに、どこもきれいに整頓され、すっきり混乱がありません。これならば、目の前のやるべきことに、すっと集中できるだろうなあと思います。

思考と机周りの整頓は連係している

上の写真は、1年前、独立したばかりで、やや乱れていた時の状態です。

今は、張り紙もなく、モニターに貼った付箋もありません。その頃、ちょっと切羽詰まった状態で仕事していたんでしょうね…。精神状態と机周りの状態は、自分の場合、とても連動しているようです。

セルフ・アップグレードにいそしみ始めた2007−8年頃から、「なんか思考がまとまらないなあ」とイライラが溜まりそうになった時、ふと周りを見回すと、机周りがごちゃごちゃしていることに気付きました。

書類が整理されないままに山積みされていたり、使いかけの資料を出したままだったり、ペンが何本も必要ないのに出ていたり。

思考がクリアになることを目的に、机の整理整頓にこだわって、整理や生産性に関する本をたくさん読みました。

同じ頃、All Aboutのガイド体験を通じて知り合った文具コンサルタントの土橋正さんが提唱されている禅的、ミニマリスト的なオフィス環境に憧れて、できるところから真似をして、どんどん不要なものを削いでいきました。

モノなんて、常になくても、全然困らない

以前は、ビジネスパーソンのデスクはコックピットだと信じて、いろいろと重装備していました。

しかし、パソコンですべての仕事が完結するようになってきて、オフィスのどこかにあるのが分かってさえいれば、ホチキスやテープ、ハサミ等は自分自身で持たなくても良いと気づいたり、机の中にあふれるほどのものが入っている事自体がおかしいのだと気づいて、どんどん自分の机からは取りさらっていきました。

すると、引き出しにも、驚くほどのスペースが生まれました。

壁にぺたぺたと予定表などを貼っていたのも、結局、一度も見たりしていない自分に愕然とし、一切止めました。カレンダーだけは、アナログで小さなものがあると便利なので、モニターの下にそっと置かれていますが、本当に今、デスク周りには常にすっきりとしています。

今、フリーなので、自分で専用のはさみ、ホチキス、テープは持ってないとならないわけですが、それでも引き出しの中身も隙間だらけです。

そういう状態だと、とにかく頭がクリアに働きます。集中力が生まれやすくなります。そして生産性が高まります。

同時に、探しものもなくなります。

出した書類は、その日の内にしまう。スキャンしたらオリジナルは捨てる。どうしても紙でとっておく必要があるものは(ほとんどないことに驚きますが)、フォルダにしまって、ラベルをつけて、半透明ボックスに一時的にしまいます。

そのボックスも月に一度くらいは見直して、要らないものは捨てます。「あの時、なぜ捨てられなかったんだっけ?」と思うほど、時間が経った後だと、簡単に捨てられたりするものです。

ものがどんどん少なくなると、掃除もとても楽にできるので、頻繁にやるようになったりします。するとますますキレイになってくる。

本当に、気持ち良いこと、この上ありません。

机にものがあふれるのはデスク周りの「便秘」

机が汚い人は、だいたいが「便秘」状態にあります。

書類の山ができている場合、その書類をしまう場所がない。(仕組みもないのですが)だからどんどん表に溢れてきます。

整理の基本は、大元になる場所から余裕のスペースを作っておくことです。そして、定期的に見直して、捨て続けること。

以前読んだとある本では、机の上のトレイは「一日の終りに空にする」。引き出しの中のフォルダー収納場所は、「週単位」で整理する。そしてそれらがしまわれる大元の場所は、「月単位」で整理してスペースを常に作っておく。

月単位の場所がいっぱいいっぱいだと、行き場のない週単位の書類は、どんどん机の上にあふれてしまいます。トレイは、他のスタッフからの回覧物を受け取ったり、流れ仕事を置いておいてもらう場所であるはずなのに、そこに5センチも10センチも、書類が貯まっていることがかつてはありました。

それは、「また同じ書類を何度も見て、選り分けて仕事をしないといけない」という理由から、知らず知らずに時間が無駄になっています。ひとつの書類を見るのは、一度だけで良いはずですね。

一日の終りに机はピカピカにして帰ろう

最後に、簡単そうで、実は難しく、だからこそ最も大事なことは、「一日の終りに机を片付けて帰る」ということです。

その瞬間に、机がぴっかぴかで整理されていることが、実は次の日の生産性に大いに影響するのです。

次の日、出社すると、これなんだっけ、という書類がぐちょぐちょと机に置かれているようでは、新しい日をジャンプスタートすることは不可能です。片付けからスタートするなんて、夜食べたものをそのままテーブルに置いたまま寝ちゃったみたいで、朝から気分悪いですよね。

前の日にオフィスを出るときには、出ている書類をすべてしまい、ペンもしまい、すっきりときれいにして帰る。できれば、5分でいいから、明日のことをイメージして、明日の「To Do リスト」まで作って帰る。それはできれば優先順位もつけてあって、時間割に落とされているとベストです。

潜在意識は、寝ている間にも明日の仕事をどう進めようか、ちゃんと考えていてくれるので、生産性を最大化することが可能になります。

どんなに完璧に準備をしても、想定外のことは必ず起きます。自分がコントロールできる想定内のことを、すべて対処してしまっておけば、大慌てしないで想定外のことにも取り組むことができます。

自分の予定も、5割、7割程度に組んで、新しい何かにすっと対応できるような余裕が持てると、一番ですね。

会社勤めをしていると、それって非現実的な贅沢のように見えますが、独立すれば可能です。一生懸命、仕事をする、ということと、予定に追われて働くのとは、まったく別物ですからね。

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