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オバマ元大統領のツイート。差別は「注意深く教えられるもの」

史上最高の「いいね!」がついたオバマ元大統領のツイート

先週末にシャーロットビルで起こった事件に合わせて、オバマ元大統領がツイッターで発言した言葉が、ツイッター史上最高の「LIKE」がついたと報道されましたね。

3つに分かれて投稿されたツイートは、最初だけを見て、オバマ氏の言葉と勘違いしているような報道、コメントもあったりするようですが、3つ目を見ればわかるように、ネルソン・マンデラ氏の有名な言葉からの引用です。

アパルトヘイトと闘った彼ならではの、説得力あふれる言葉。

簡単に訳すと、こんな感じの意味合いでしょうか。

肌の色や宗教の違いによって憎しみを持って生まれてくるものはいない。

人は、憎むことを教わるのである。そして、もし憎むことを教えることが可能ならば、愛することを教えることだって可能なはずだ。

なぜならば、愛は憎しみよりも、もっと自然に人の心に宿るものだから。

ネルソン・マンデラ氏

恐れが憎しみを生む

生命の危険を知らせる本能は、ときに誤報というか、間違ってアラームを鳴らしたりしますよね。

見慣れないもの、知らないもの、理解できないもの。

それらは危険ファクターとして認識され、避けたり、排除したり、攻撃したりする対象であると、遺伝子の中に埋め込まれた記憶が警報を鳴らします。

激しい気候の変化や、伝染病や、食うか食われるかのサバイバル状態であった古代ならいざしらず、現代社会は、それらを人の知恵で排除して、皆が折り合いをつけながら生きられる環境を創造する力があるはずですが、遺伝子の記憶は強力なのでしょうか。

憎しみは教え込まれる ~ミュージカル「南太平洋」より

ネルソン・マンデラ氏の説くように、「教える」ことが偏見となって、次世代に受け継がれていくという言葉で、私はふたつのミュージカルを思い出します。

ひとつは、「南太平洋」。

南の島で暮らす白人と原住民の恋愛、混血の子供の存在、それらについて、物語は驚くほど正面から切り込み、疑問を投げかけます。

まだ黒人解放運動の真っ只中の1949年に初演。58年に映画化してブレイク。

その中で、現地の女性に恋をしたにも関わらず、そこから本気で結婚など考えることもできない自分に絶望した海兵隊の中尉が歌う歌が、この物語のテーマを象徴しています。

歌詞はこちら。

You’ve got to be taught
To hate and fear,
You’ve got to be taught
From year to year,
It’s got to be drummed
In your dear little ear
You’ve got to be carefully taught.
You’ve got to be taught to be afraid
Of people whose eyes are oddly made,
And people whose skin is a diff’rent shade,
You’ve got to be carefully taught.
You’ve got to be taught before it’s too late,
Before you are six or seven or eight,
To hate all the people your relatives hate,
You’ve got to be carefully taught!
From the musical “South Pacific”
簡単に要約すると、こんな感じの意味合いです。
注意深く教え込まれたに違いない。
憎むことを、恐れることを。
来る日も来る日も、小さな耳伝いに、
瞳の形や色が違うものを、肌の色が違う色を帯びたものを、
恐れるようにと、注意深く教え込まれたに違いない。
遅すぎることのないように、6歳、7歳、8歳までに
親戚中が憎むすべての人々を憎むようにと、
注意深く教え込まれたに違いない

「Carefully=注意深く」というのは、あまりにも直訳なのですが、意図を持って、徹底して、間違いないように、ぬかりないように、というような意味合いを含んでいる言葉です。

ネルソン・マンデラ氏の言うように、人は生まれながらに、人種の違いだけで人を憎むことなどできないわけです。

周りから、しっかりと教え込まれない限りは。

その「周り」だって、いつか誰かから、教え込まれてきたんですよね。

そうやって、偏見、差別は、連鎖します。

子供らは常に聴いている~ミュージカル「Into the Woods」より

もうひとつは、Into the Wood。

人気ミュージカルですが、メリル・ストリープやジョニー・デップが出演した映画で日本でも話題になりましたね。

How do you say to your child in the night?
Nothing’s all black, but then nothing’s all white
How do you say it will all be all right
When you know that it might not be true?
What do you do?
Careful the things you say
Children will listen
Careful the things you do
Children will see and learn
Children may not obey, but children will listen
Children will look to you for which way to turn
From the musical ”Into the Woods” – Children will listen
長いので、全部は引用しませんが、主要な意味合いはこのような感じです。

あなたの言うこと、やること、子どもたちはすべて聴いているし、見て学んでいるよ。
すぐに従わないかもしれないけれど、ちゃんと聴こえている。
だから、何を望むか、何を口にするか、どうふるまうかに注意しなさい。
子どもたちに話して聞かせるお話が、彼らの中に残る呪文になる。
あなたの親があなたに言ったことが、子どもの中にも継がれていく。
導いては上げなさい。でも、干渉せず見守っていて。
子どもたちは自ずと輝いていくから。

 教えられたことの呪いから解放される

親や親戚や、学校の先生や、テレビやメディアから知らずに教え込まれたことは、人の常識になって植え込まれます。

それはあまりにも「常識」なので、ときには自分の偏向性に気づきもしないのですが、でも、多くの声に耳を傾け、多くの物語を読み、多くの痛みに繊細になれば、じょじょに見えてくるものありますよね。

私はオバマ元大統領が幼少時代を過ごしたハワイで、彼が育ったのと同じコンドミニアムで17年も暮らしたのですが(それは単なる偶然)、ハワイのように、あらゆる人種がミックスされた長い歴史を持つ場所では、人種による差別は生まれにくいものがあります。

それでも、ありますけどね。

先祖代々、教え継がれた、特定の考え方や嫌悪や憎しみや。

日本にもたくさん例はあるかと思います。

今でも偏向教育を行って、国がそういうことをしている社会もあります。

彼らはいったい、どんな未来を作りたいのだろう。

「呪文をかけるときには、気をつけるのよ」と歌う、イントゥーザウッズの歌詞が身にしみます。

過去は、今になって、自分の身に降りかかる災難となるかもしれない。

恐れや憎しみから発せられた言動は、ひるがえって現実のものになってしまうかもしれない。

かわいいものですが、私が先日体験した、ちょっとした差別的体験をブログにしています。

でも、似たようなきっかけで、とんでもない暴力が暴発して、死に至るケースも多々あるわけです。

ロサンゼルスも、移民層が厚く、マイノリティだらけの街なのに、マイノリティがマイノリティをいじめようとしたりもするんですよね。

虐げられた(と思っている犠牲者)は、新たな犠牲者を見つけては、鬱憤ばらしをするのでしょうか。

参考 軽い差別的イジメにあいました

Learn=学ぶという意味の言葉がありますが、英語には、「Unlearn」という素敵な言葉があります。

学びを捨てる、知識や記憶を取り去る、習慣を捨てる、効力から逃れる、というような意味合い。

これは、コーチングや心理カウンセリングでも重要なコンセプトで、幼少の頃にプログラム化されたことの、プログラムを問いていくことなんですね。

アメリカも、ベビーブーマー世代が年老いて、社会が目に見えて、大きく変わっています。

だからこその、揺り返し、抵抗、歪み、軋みがあちこちで起こります。

どこの社会も、そうかもしれません。

繰り返し、繰り返し、自分が言う言葉は、自分が一番多く聴いています。

だから、良くないことを言えば、自分が一番、その呪いの犠牲になっていきますよね。

良きことを言えば、もちろん、それは逆に働きます。

アップルCEOの提言に賛同して、自分も支持する人権保護団体に寄付をしましたが、こんな変化や混沌の中で、自分にできることは何なのだろう、と常に考えて実行するのが、未来のリーダーなのだろうなと、声明文を読んで賛同しました。

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