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アメリカで「メリークリスマス」という言葉を使うのに神経を使う理由とは?

Lighthouseseasonsgreetings

クリスマスの挨拶といえば、「メリー・クリスマス!」と決まっているかのように思うのですが、多民族、多文化のアメリカでは、これは必ずしも「ポリティカリー・コレクト」な表現ではありません。

ポリティカリー・コレクトとは、Wikipedia 日本語版では、こんな風に定義されています。

ポリティカル・コレクトネス

ポリティカル・コレクトネス(英: political correctness、略称:PC)とは、言葉や用語に社会的な差別・偏見が含まれていない公平さのこと。職業・性別・文化・人種・民族・宗教・ハンディキャップ・年齢・婚姻状況などに基づく差別・偏見を防ぐ目的の表現、およびその概念を指す。

1980年代に多民族国家アメリカ合衆国にて始まった、「用語における差別・偏見を取り除くために政治的な観点から見て正しい用語を使う」という意味で使われる言い回しである。「偏った用語を追放し、中立的な表現を使用しよう」という運動のみでなく、差別是正全体を指すこともある。

この運動は日本語など、他の言語にも持ち込まれ、いくつかの用語が置き換えられるに至った。しばしば(伝統的な)文化や概念と対立する。

最近では逆に概念が一般化してあまり聞かれなくなった用語ですが、一時期は神経質なくらいアメリカ社会がポリティカリー・コレクトであることにこだわっていた時期がありました。

メリー・クリスマスという時候の挨拶も、「キリスト教」のものであるとして、ユダヤ教やイスラム教、仏教など、宗教の自由が認められているアメリカで、公用語のように使うのはおかしい、と言う主張があったのです。

いつしかクリスマス・カードも、Merry Christmasという言葉を使わずに、Seasons Greetingsなどを使うことが多くなりました。大企業やマスコミ、政府や公の機関など、マイノリティから目がつけられやすい団体ほど、神経質になっていました。

有名店などでも、店員が挨拶する時に、「メリー・クリスマス~!」とは言わせずに、「ハッピーホリデーズ!」と言わせたり。

でも、だんだんと差別表現を突っつく動きもほとぼりが冷めてきて、かつてのようにシンプルなクリスマス的表現を懐かしむ人も出てきています。とあるアンケートによると、50%は「メリー・クリスマス」という挨拶の方を好むとしています。しかし同時に、30%は別なニュートラルな表現を好むと答えていたりして統一意見にはほど遠く、なかなか難しいアメリカ社会をかいまみるようです。

⇒ “Is Saying Merry Christmas Politically Correct? Good For Business?”

人々が普通に街角で挨拶する時は、メリー・クリスマスを使うことが圧倒的に多くて、わざわざハッピーホリデーなんて言う人は滅多にいません。そもそも「クリスマス」というキリストの誕生を祝う日の存在を否定するようなことになるので、言葉を変えたって意味ないんですよね。

私も、「日本人だから、そういうことを知らないのね」と思われるのも悔しいので、ハワイの社長時代から、クリスマスカードは(グリーティング・カードと呼ぶのが正解か…)、Seasons Greetingと書かれているものを作ったり、選んだりして送ってきました。

クリスマスは、日本でもそうであるように、今や国民の行事的なイベントと言っても過言ではありませんが、クリスチャンが圧倒的な割合を占める国。そもそもイギリスの正教会に反抗したプロテスタントが移住して作った国ですから、多くの人にとって、クリスマスが宗教上も大切なイベントであることは間違いありません。

だからこそ、他の宗教の信仰者にとっては、「疑いなく全員がクリスチャンみたいに扱ってくれるなよな」と、一言チクッと言いたくもなるのでしょう。

まあそんな微妙な話題でも何でも、表に引っ張り出して大らかに議論するからこそ、人々の考え方の距離感も縮まっていくんですよね。互いをリスペクトし合うことを覚えれば、理解しきれなかったとしても、折り合いをつけて上手に仲良くしていけるものなのです。アメリカ社会の強さの秘訣は、その辺にもあるなあと思います。

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