ハワイや日本で成立するだろうか。スープとサラダのビュッフェレストラン「スープランテーション」

souplantation salad bar

ハワイや日本の友人が来ると、お連れすることが多いレストランチェーン「Souplantation(スープランテーション)」。

簡単に言うと、サラダバーとスープバーに、ベイカリーがくっついて、さらにちょっとしたデザートもあるというビュッフェレストラン。野菜食べ放題のお店です。

日本でも展開している「シズラー」みたいなタイプのファミレスを想像するかもしれませんが、雰囲気も提供しているサラダ類もずいぶんと違います。

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昔ながらのアメリカ人サラダは、レタスに生のきゅうり、生のブロッコリ、生のカリフラワー、生のピーマン、生のマッシュルームを乗っけて、ドレッシングをかけるだけのものが主流。

スープランテーションに入ると、先が見えないくらいに長いサラダバーのラインが続いていて、すでにできているサラダが2−3種類、その後に、自分で組み立てるサラダのパーツが延々と続きます。

そのパーツの種類は、昔ながらのものもありますが、はるかに種類が多く、ナッツやキノア、ブロッコリーのコールスローなどなど、今風のサラダを反映したものも多いのが特徴です。ふたつ大きなお皿を並べてお盆に乗せても、サラダだけでいっぱいになるほど。しかし、ふた皿をいっぱいにしてしまうと、これだけで相当お腹がいっぱいになるので、気をつけないとなりません。

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スープランテーション、というくらいなので、スープも豊富です。毎日、少しずつ違う6種類が提供されています。小さな器で、2−3種類、違うテイストを味わえるのが何よりも嬉しいです。いずれも美味。チープなところは少しもなく、きちんと具もいっぱい入っています。質の管理がしっかりできています。

チラシやメールマガジン、クーポンサイトなどを通じて、毎月、趣向を凝らしたクーポンが配られます。定価はいくらか調べても、なかなか出てこなくて、地域や店舗によっても若干、違う様子です。

基本、ランチは8.99ドル、ディナーは10.99ドルだったかと思います。それが、下記のようにクーポンを使うと、ディナーが2つで19.99ドルとか、ひとり1ドル引きになったりするわけです。ランチも、ひとり1ドル引きが結構良く出ます。そんな料理で、これだけのビュッフェ料理が。

店内も巨大で、テーブル席が豊富にあり、すぐに空きを見つけて案内してくれます。終わった皿もお盆も、ささっと片付けてくれますから、本来はチップとかあっても良いだろうに、多分、ほとんどの人はチップを置いていきません。そういう意味でも、安く上がるのですね。

souplantation coupons

実は歴史は意外に長くて、1978年にサンディエゴでスタートしたビジネスだそうです。今では、カリフォルニアを中心に、15の州で120軒近いチェーンを展開中。でもまだ、ハワイにはないし、国外には進出していないようですね。

ハワイから来た友人らを連れて行くと、皆、その太っ腹ぶりに驚きます。ハワイは暑すぎるのか、土地が高過ぎるのか、農家が成り立たない場所のようでもあり、なくはないのですが、良い農産物は、有名シェフのレストランと専属契約したりして、なかなか一般市民の手には届かないのです。

となると、すべて空輸に頼ることになるので、野菜の値段がとても高くなる。もともと不動産も高いところですから、やむを得ない。となると、こういう、ふんだんに野菜を提供する店など、成り立たなくなってしまいます。冷凍で時間をかけて船で届けられる肉類はとても安いのに、残念なことです。

それに加えて、ハワイのロコたちは、とってもたくさん食べます。ビュッフェも大好き。ということで、普通は、35ドル~45ドルとか、そういう値段にしないと、なかなか成り立たないわけです。スープランテーションのような値段では、とてもビジネスにはなりません。

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日本ではどうなのか、というと、やっぱり同じく野菜はそれなりに高いですよね。でもそれほどの量を食べたりしないでしょうし、このコンセプトに惹かれて来る客層であれば、逆に量を食べることはしないのかもしれません。健康志向を強めれば強めるほど、食べ放題だけど、量は抑える。そんな良い循環があるのかも。

なんか、自分でもこういうビジネス、やってみたいなあと思うのです。日本で自分が食べられるものが全然なかったりするので。

野菜料理って、もっとバラエティ豊かにできるし、それだけで全然お腹いっぱいになる。野菜だから「我慢」や「お洒落」なんじゃなくて、野菜だから楽しく、元気で、明るく、家庭的で、満たされた気持ちになっても良いはずです。日本にも一部に、自然食系のビュッフェレストランがあって、徐々に広がっているようですが、そんなムードがもっとカジュアルで気軽になっていくといいですね。

昨日はランチタイムに行ってみましたが、意外にもひとりで来ている人は多いです。野菜をいっぱい食べたい。スープも飲みたい。でも普通のレストランに入ると、巨大なサラダが10ドルくらいします。だったら種類が豊富で、日々、食べるものを選択して変えていけるスープランテーションに、となるのは自然かと思います。自分の食のスタイルに合わせて、いかようにも組み合わせがききますから、おひとりさまランチにも良いのですね。店内が広々していて、ふたり席も豊富で、他のお客さんを気にしなくていいのが何よりです。オーダーしてからの待ち時間みたいなものもありませんし、さくっと食べて出て行けます。最近は、小さな店でテイクアウト用の「エクスプレス型」の店も出てきているようです。

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アメリカに来たら、ガイドブックで紹介されている有名レストランを回るのも良いですが、こんな風に、地元の人たちが普通に訪れる人気チェーンなどを巡ってみると、その土地の生活感やビジネスのヒントもたくさん浮かんで良いかと思います。

街に出て、人を観察して、人々の価値観を知って、ちょっとした計算もしてみたりすれば、海外旅行も素晴らしい気づきの場になりますね。