書評「今あるガンが消えていく食事」。バランス取れた治療法の提唱です

今あるガンが消えていく食事

今あるガンが消えていく食事」という本を読みました。

ガンは食源病だから、食べるものをきちんと考えて選択していかないとならないそうです。でも、なかなか日本は選択が少なくて、考えてる人にとっても実践が難しいなあ、というのを今回の長期滞在で感じています。これだけ大量に病人がいるのに大きな警鐘も聞こえないし、鳴らす人が出てくると、それを打ち消そうと大きな力がやっきになる印象です。

直接、この本とは関係がありませんが、10月3日の「金スマ」で、がん治療における異端児と呼ばれる近藤医師が特集された時の、世間(とくに医療関係者さん)の反応がものすごくて引いてしまいました。下記のサイトで放送後の反響をまとめていますので、よろしければご参考ください。 少し怖くなるかもしれないので、批判コメントを読むのはほどほどに…。

【金スマで話題騒然】異端の医師・近藤誠先生-医療界猛反発-

僕は医師ではないし、ガン研究をしてきた人でもないし、ガンを克服した経験もないし、何も言う資格はないのですが、1.摘出、2.抗がん剤、3.放射線治療という3大治療の他に、「食事の見直し」や「生活全般の見直し」という項目が入っていかないのは、西洋医学の限界というよりも、「病院の役割の限界」として理解しています。それは病院や医師を責めても仕方がないことかと思います。

生活習慣病のひとつとされるのであれば、生活を見直して改善しないことには、一度なった人は、再発してしまう可能性が高いわけですが、そこは病院が面倒を見る領域を超えています。

本来ならば、家に上がり込んで、調味料や冷蔵庫を見て、バスルームを見て、化粧品を見て、カウンセリングで生活環境を丸々見ていかないと、「生活習慣」を変えて再発予防していくのは無理でしょう。そんな風な「生活習慣病再発防止アドバイザー」とかって、いたりするんでしょうか…? それこそ資格とか難しいでしょうし、今の法律の基準でOKとされているものを否定することは、公にできることではきっとないでしょう。

近藤医師の理論については、書籍を読んだわけでもないので、番組を見ただけでコメントするのは控えておきます。ちょっと読んでみようかなあ、と思いながら調べていたら、偶然、こちらの本「今あるガンが消えていく食事」に出あったというわけです。すでに末期がんにかかっている父親を持つものとして、どんなことが書かれているのか気になって即、購入。

ここでは生活習慣全般ではなく、「食事を変えればガンも消えていく(ことがある)」と、臨床データも含めて書かれていました。

その食事とは、基本、玄米菜食です。

魔法のような秘策を期待して読む方にしてみたら、なーんだ、って感じでしょうか。

過去、「病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-」などでも盛んに言われてきたことで、真新しい感じはありません。ベースとしているのも、ゲルソン療法や幸田療法。

どちらもドキュメンタリーを観たり、本を数冊読んだりして、自分でも部分的に取り入れて、自然治癒力アップに効果があることを体感してきたものばかり。とはいえ、こうやって書いていただけると、自分が手探りでしていることを再度、見直すことにもつながって良いですね。

こちらの本は、現役の大学病院の医師によって書かれたものです。なので、抗がん剤や摘出手術、放射線治療を否定するようなことは書いていません。あくまでも組み合わせで行うべき、という理論です。ただ、手の施しようがない、と、治療を諦めざるを得ない状況の患者でも、食事療法で効果を出してきたとも書いています。幸田先生の書籍にもあったような例です。

彼の恩師である元日本外科学会名誉会長の中山恒明先生が、このようにおっしゃったことが、その後の、彼のがん治療に対する考え方を変えていったそうです。

「医師は、自分が病気を治すなどとだいそれたことを考えてはいけない。身体は患者さん自身が治す。その自然治癒力を引き出すのが名医。手術で治せたとうぬぼれるな。」

そして、ガンの勢いをそぐ手術や抗がん剤と、栄養・代謝を整える食事療法の組み合わせが最強だと信じるに至りました。

この本には、実際に食事を変えて、もうダメだと言われたがんを克服した方々のストーリーも掲載されています。批判的な方は、こういう話にも「うそ臭い」とかいちいちケチをつけるのでしょうが、

あるひとりが書いている話が衝撃的でした。彼女は、ゲルソン療法などを学習し、東京で受けた食事療法をからめた治療を地元でも受けられないかと病院を探し歩いている時、とある医師から言われました。

「あなたみたいなのは“患者”ではなく“信者”というんです。」

僕も、どっちかというと「信者」と呼ばれる人なんでしょうね。巷には、「フード左翼」なんて言葉もあったりします。ヒッピー文化や自然食ブーム、政治思想などがひっくるめられて語られてのことのようですが、ロサンゼルスの真ん中で暮らしてみると、政治思想を絡めていくのは見当外れかもよ、というのはすぐに分かるので、本は買ってみたけど読む気がしないままになっています。

ちなみに、実家には、僕の家にはもうとっくになくなった一般的な調味料があるし、加工食品もたくさんあります。両親共にガンで苦しんでいる割には、無頓着にカップ麺が箱で買って置いてあったり…(驚)。

僕の食事だけ玄米にしてもらったり、肉なしにしてもらったり、毎日わがままを言って困らせています。栄養が足りないのでは?という愛情からなのか、気づくとこっそり肉が隠されていたりして…(涙)。もう7年くらい、帰る度にこんな感じ。早く慣れてくれないものかしら。

そんな状態での長期滞在は、お互いにフラストレーションかもしれないですね。それが一番身体に良くないことだったりして。