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「エッセンシャル思考」年末年始に読んでおきたいオススメの一冊

waikikiocean

コーチングのセッションの中では、やはりたくさんの読書をおすすめしています。

本に勝る自己投資って、なかなかないように考えていて、わずか千円代で、密度濃く、体系だった知識が身についたり、何時間にも及ぶ深い思考ができたりする。

その体験からの学びは、ちょっとしたセミナーではとても得られないほど多いのです。

セミナーにはセミナーの、ワークショップにはワークショップの良さがあり、いちがいには比べられませんが、本には、他に変えられない優れた点があると信じています。

という中で、今年、たくさんのクライアントにおすすめしたのが、こちらの「エッセンシャル思考」です。

ライフコーチと言うと、どうしても、もっとたくさんのことや、もっと高いレベルのことを夢見るように叱咤激励するイメージがあるかもしれませんが(あるいは、全然、何をするのか想像つかないか・苦笑)、別にそうばかりでもありません。

皆、それぞれに心の中にくすぶるものがあって、でもその正体がなかなか見えなくて、もがいている感じがあります。

望むことを書いてみよう、というと、最初は威勢のよい言葉がたくさん出てきたりするのですが、でも、もっと深く、深く、掘り下げていくと、ふと飛び出てくる心の叫び声みたいなものが聞こえてきます。

そこまでたどり着くのに、20個、30個ではダメで、やはり50個、70個と、表層にあるものをすべて出し切ってからでないと、なかなか出てこないもののようです。

それはとても純粋で、正直で、繊細で、きらきらと美しく輝く、その人らしい願望です。

だから、すぐに、それが本物であることが分かります。

言った(あるいは、書いた)本人も、今までに体験したこともない、プリミティブな感覚に驚き、ぞくぞくと震えるような感動を味わいます。

「え、自分って、こんなことを考えていたのか……?」と、ようやく出会った「本当の自分」に驚くわけです。

そのことに比べたら、最初に書いた数十個の願望など、きれいごとに過ぎないというか、どこか「借り物」の装いで、本来ではない響きがするものなのです。

前置きが長くなりましたが、本書「エッセンシャル思考」で訴えているのは、そうやって掘り下げた、本当に大切なもののために、持てるリソースを集中し、他を切り捨てる生き方です。

「エッセンシャル思考とは、まさに『より少なく、しかしより良く』を追求する生き方だ」(本文より)

この、「より少なく、しかし、より良く」こそが、本書のテーマであり、美しい副題「The Diciplined Pursuit of Less(より少ないことの自律的な探求)」の言わんとするところです。日本版の副題は「最少の時間で成果を最大にする」になっていますが、微妙に軽く感じます。

成果、という言葉に、生産性、効率主義をイメージして、「またか」「知ってるよ」と思ってしまうと、残念。

原題は、エッセンシャリズム、ですから、「主義」なわけです。テクニックレベルではなく、あくまでも、生き方。哲学。日々を生きる姿勢なんですね。

「私たちはこれまでになく多くの選択肢を持つことになり、その数に圧倒されている。

 何が大事で何がそうでないかを見分けられなくなっている。

 心理学で「決断疲れ」と呼ばれる状態だ。

 選択の機会が増えすぎると、人は正しい決断ができなくなるのだ」

自分の能力の限界にチャレンジし、可能性を広げるためにも、多くを望んでみるのは、決して間違いではないと思っています。

ただ、追求をする実行段階で、あれもこれもと戦略なく手を出してしまえば、何もかもがどっちつかずになって、共倒れ。いずれもうまくいかなくなってしまうのは、目に見えています。

我々の時間は限られていて、注げる注意力や集中力も、無限ではないからです。

実は、私自身が、毎度、毎度、これをやります(苦笑)。

何度やってもコリもせずに繰り返し、結果がうまく出ないことに落胆し、自分自身を打ちのめしてきました。

こりゃ、ほんとに一度、ゼロに戻って、人生やり直すしかないな、とつくづく思うほど、非エッセンシャル思考なのでした。

基本、欲張りなのでしょうね。その辺は、今もまだまだ、修行中です。(きっと一生)

ここでいう戦略とは、「選ぶこと」。

それも、人の基準ではなく、自分だけの基準で、日々、選び続けることを習慣化することです。

「オーストラリアのホスピスで看護師をしていたブロニー・ウェアは、死を迎える患者たちが最後に後悔していることを聞き、記録しつづけた。その結果、もっとも多かった答えは『他人の期待に合わせるのではなく、自分に正直に生きる勇気がほしかった』」

しかし、そのためには、じっくりと落ち着いて、考える時間が必要です。

「多数の瑣末なことのなかから少数の重要なことを見分けるためには、誰にも邪魔されない時間が不可欠だ。ただし、この忙しい世の中で、そんな余裕が自然に生まれるわけがない。あえて時間をとらなければ、誰も考える余裕など与えてくれない」

時間を作るためには、「やめる」「切り捨てる」「断る」という手段がどうしても必要になってきます。

そのことについての考え方、対処の仕方も、豊富に文章量をあてて説明しています。

そうして苦心して作った「すきま」で、考える。

そして、計画は、ゆったりと、「車間距離」のようなバッファを持って、悲観的に、悲観的に、余裕を持って作る。

これが自分は最も苦手であることを認識しております。いつも楽観的に考えすぎて、あふれかえって失敗します。自分の生産性やキャパシティを、とても過大評価する癖があります。

まあ、そういう傾向とじっくり向き合えるようになっただけでも、まだましではありますが。

そして、さらに大事なのは、「小さく、早く始める」こと。

準備が整うのを待って、どかんと一斉に始め、ささーっと終わらせたくなるのが人の常ではありますが、「エッセンシャル思考」とは、その逆を指しているのだといいます。

そのことのメリットも、たくさん書かれています。

下記は、私が常日頃、マラソンの練習とレースを通じて、肌感覚でその通りだと納得していることでもあります。

マラソンは、満足いく走りをするのに、とても長い練習が必要なスポーツです。コツコツと、長い間、じっくり取り組んで初めて、成果が見える。

でも、それを、日々の練習の中で、小さな前進として体感することができるから、楽しさや満足感が味わえて、続けていけるのです。

心理学の研究によると、人間のモチベーションに対してもっとも効果的なのは「前に進んでいる」という感覚である。小さくても前進しているという手応えがあれば、未来の成功を信じられる。そのまま進みつづけようという力になる。(中略)

小さく始めて、日々の小さな進捗を評価する。それを何度も何度も繰り返す。最初から壮大な目標を立てるより、そのほうがずっと遠くまで行ける。  小さな達成を繰り返せば、目標までの道のりは楽しく、満足感に満ちたものとなる。

最後の方で、著者は、自らの例として、「エッセンシャル思考」の具体例を示してくれています。

世間のものさしで言えば、選択が違わないか?と言われそうなことも含まれていますが、彼固有の基準に基づいた、彼にとって、とても「正しい」選択なわけです。

そこには、当然、勇気も必要になってきます。恵まれた立場だからできるんだろう、という批判も聞こえてきそうではありますが、ここを目指そう、近づこうと努力することは、誰にもできるはずです。(あくまでも、望むのであれば、です。それもこれも、すべては個人が何に価値を置くのかで決まるわけだから。)

「私がエッセンシャル思考を感じるのは、たとえばこんなときだ。  

・人脈づくりのイベントに行くよりも、子供とトランポリンで遊ぶ  

・この本を書くために、世界的有名人からの仕事の依頼を断る  

・家族と過ごすために、週1日はソーシャルメディアを一切見ない  

・執筆のために毎朝5時に起きて午後1時まで書く生活を8カ月つづけている  

・仕事の期日を延ばして子供たちとキャンプに行く  

・出張の飛行機ではテレビや映画を見ず、思考と休息に時間を使う  

・その日の最優先事項が終わるまで別のことには一切手を出さない  

・日記を10年間欠かさずつけている  

・妻のアンナとデートするため、大きなイベントのスピーチ依頼を断る  

・フェイスブックを眺めるかわりに、93歳の父親に電話をかける  

まだまだあるが、要するに大切なのは『選ぶ』ということだ。周囲に流されず、自分自身の選択をする。それは実に自由な体験だ」

先日のブログでご紹介した本「減速して生きる―ダウンシフターズ」とも重なりますが、ここでの目的は、いわゆる、世間でいう経済的、名声的な成功ではない、ということを明確に記しています。

⇒ 「時にはダウンシフトをして人生を減速するのもあり。人のものさしで測るのをやめると見えてくるもの」

「エッセンシャル思考の目的は、世間的な成功を手に入れることではない。人生に意味と目的を見いだし、本当に重要なことを成しとげることだ。将来自分の人生を振り返ったとき、どこにでもありそうな達成リストが並んでいるよりは、自分にとって本当に意味のあることをひとつ達成したと確信できるほうがいい」

シンプルだけど、深いです。深いけれど、さらさらと読み進めることができる平易さ、簡潔さが貫かれています。

翻訳書ですが、決して難しくもなければ、冗長でもありません。長さの意味はある本だと思います。

精神論に傾きすぎず、実用的なノウハウにも寄らず、そのバランスがとても良いことが、アメリカではもちろん、日本でも評価が高い理由でしょう。

waikikiocean

毎朝起きたときにこんな景色が目の前にあれば、他には何も要らないですよね。ものが多ければいいってものではないということの、ひとつの例です。

といっても、これもまた、人それぞれで。

こういう環境ではない場所に価値を求めることだって、大いに有り得る話です。

(そうやって17年の心地よいハワイ生活を離れて、新しい土地へと移住した自分だから、よく分かります。)

何を日常にするのかも含め、自分らしい「選択」を意識し、今、この瞬間に集中して生きる

そんなことをたっぷりと教えてくれる年末年始に絶好の良書です。海外在住の皆さん、Kindle版もありますので、ぜひ!

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