旅の合間に「時間旅行」。80年代が蘇る松田聖子さんのバラード・ライブ

ずっと買おうかどうしようか迷っていましたが、せっかく日本に行ったのだし、と思って、やっぱり買ってしまいました。

松田聖子さんのコンサートDVD「Seiko Ballad 2012」。

聖子さんと僕とは同い年で、誕生日も近いんです。自慢でもなんでもないのですが(苦笑)、つまり彼女も52歳ということです。18歳になる前、僕らが高校3年の時に深夜放送で先行デビューしていて、卒業してすぐの18歳の春にレコードデビュー。それからもうすぐ35年になろうとしています。

僕の大学生活の思い出の随所に彼女の歌が染みこんでいて、あんなに暗かったはずの時代が、そうでもなく懐かしく思い出せるのは、彼女のおかげだと思っています。

94年にアメリカに移住してしまってからは、ほとんど聞くこともなかった聖子さんですが、6年くらい前だったか、ふとAmazonで見つけてしまったのが2005年に暮れに行われたカウントダウン・コンサートのDVD。25周年記念ということもあって80年代の曲を中心に選んでいて、その演目リストを見た瞬間、1クリックで衝動買い。出張の合間に自宅で見て、我慢できずに馬鹿みたいに号泣しました(苦笑)。

当時、43歳くらいだった聖子さん。でも歌声があまりにも以前のままで高音も素晴らしく、衣装も派手派手のミニで、なんだこりゃと驚愕でした。その影には、ものすごい努力と節制があるんだろうなとも思いました。歌がうまいなあ~、前よりさらにうまくなって、良い曲が研ぎ澄まされて聞こえる。大人の情感が加わって、20代の思い出が蘇って、深く深く感動…。

それから遅れを取り戻すべく、数年間分のライブDVDを大人買い(笑)。2005年暮れのは秋冬の名曲ぞろい、翌年のカウントダウンは夏の名曲を集めて秀逸でした。この2枚は、ファンにはたまらないはずです。

その後は、割りとマンネリっぽくなってしまって深い感動がないままだったのですが、今度はバラードだけのコンサートと趣向を変えた企画だったので気になってました。2012年暮れのものですが、かつてより成熟してるし、声も低く厚めになってきてはいますが、輝きは相変わらずです。

80年代の曲はとくにひねりも加えず、ファンの中に息づく思い出のまんまの状態で歌ってくれるのが嬉しいです。しかし「あなたに逢いたくて」は、それより時期が外れているし、自作だし、遠慮なく好きなように歌っています。タメもすごくて、ちょっと天城越えみたいにキメキメで演歌な印象(笑)。

今回良かったのは、「赤い靴のバレリーナ」かな。少女の声の「時間旅行」「水色の朝」も素敵でした。自分が重なる「Star」もアンコールで歌ってくれて、思わずほろり。途中のMCも最高に楽しく、35年近く第一線のエンターテイナーとして活躍してきた年季と自信と、そしてこれからもずっとやっていくんだという覚悟とが入り混じって、何とも感慨深いのでした。

1週間だけロサンゼルスに帰ってきて、いろいろと処理すべきことをして、すぐまた日本です。旅の間に、時差ボケで眠れない夜中にDVDでリラックス。感謝のひとときです。