それは、なぜ「今」じゃなく「いつか」なのか?

ライフコーチのセッションは、「夢を語る場」ですから、クライアントさんたちから、実にバラエティあふれる希望や憧れを聞かせていただきます。

セッションが進むにつれて心もほぐれてきて、長年、意識したことのなかった幼い頃の記憶が蘇り、実はこんなことがしてみたかったんだ~と、新たな夢が浮上してきたりします。

あるいは、こちらから提示する無数の選択に対して、心が反応して、それ、やってみたい!と目がキラキラ輝き出すなんてこともしばしばあって、こちらとしても嬉しい驚きです。

ただ、時に気になるのは、「いつか、◯◯を実現したいですねえ」と、あくまでも遠い将来のこととしてしか、夢を話せないケースです。

夢の実現は、なぜ、「今」ではなくて「いつか」なのでしょう?

その要因をさらに深い対話から探っていくと、これらの組み合わせによるもののようです。

1.現実のものとして考えていない(考えたくない)

2.自信がない

3.準備不足

4.何から始めていいのかわからない

そもそも「夢」がなぜ「夢」なのかというと、現実ではないからです。

その実現に向けて動き出す、ということは、空想の中で楽しんでいれば良かった幻想を、無理やり現実の世界に引っ張り込んで、今までしなくても良かった苦労や辛い体験をしていかねばならないかもしれないリスクを、たっぷりと含んでいます。

夢は、叶えようと動き始めるまでは、夢のままで、そっと置いておくことができます。深層心理の部分では、実は夢を「叶えたくない」と思っているのかもしれません。

その背後には、「自分にはとてもできない」という、自信の欠如もあるでしょう。

そういう「夢」は、もっとスゴイ人たちが叶えていくものであって、自分には分不相応。夢を見るのは自由だけど、叶えるなんて、とても、とても今の自分には……と、自分から可能性を否定しています。

準備不足を認識している状態は、やはり自信のなさの要因にもなります。

しかし、準備が足りてないからこそ、今すぐ始めた方がいいのに、もう少しこれをしたら、もう少しここを勉強したら、この資格を取ったら、まずは転職をして時間が自由になる環境が手に入ったら……と、「条件」ばかりをたくさん並べて、始めない言い訳をしている場合もあります。

先延ばししていたら、できるようになるのでしょうか? 今は持っていない「魔法の杖」でも手に入るのならいいのですが、結局、やらねばならないことは一緒です。

これも一番目と同じで、何もしなければ夢も壊れず、夢のままで持っていられるのに、うまくいかないことが見えてきて、夢が遠ざかってしまうのが怖いわけです。

何から始めていいのかが分かってないんだろうな、と思うことも多々あります。

いきなりもの凄いレベルにある人と自分を比べてみて、その段差分にふさわしい「はしご」が見つからないと、途方に暮れている方もいます。

まずは小さなステップからスタートし、紆余曲折しながら、積み木を積み上げるようにして、高いところへ登っていけばいいのでは?とお話すると、我に返ったように現実感を伴って考えることができる人がほとんどです。

同じ夢をすでに叶えた人に聞くとか、関連本を読むとか、それこそライフコーチを採用して客観的意見を聞いたり、課題に取り組んでみるとか。

今、できることにフォーカスするだけで、不思議と道筋がどんどん見えてくるものです。

これは自分にも言い聞かせ続けていることですが、「いつか」は、もしかすると永遠にやってこないかもしれません。

人生はあまりにも短く、時間はあまりにも早く過ぎていきます。

刹那的になり過ぎる必要はないものの、自分ができることの価値や、小さく始めて積み上げることの威力や、夢を「今」のものとして動き出すことの魔力をもっと意識することで、先延ばししない人生を送れるのではないでしょうか。

その夢は本当に叶えたい夢ですか?

それとも、そのために苦労するくらいなら、別に今のままでいい、という程度のものですか?

妄想したり、憧れを抱いたりすることは、まったくもって悪いことではありません。

夢を見る力を失った人々がたくさんいる世の中で、何かにワクワクできるなんて、それだけで素晴らしいことですよね。

ただ、「いつか」叶えたいという夢を、現実に変えたいと真に願うのであれば、「今すぐ」できる何かを考えて、一歩踏み出す勇気が必要です。

その一歩を踏み出した瞬間、見え始める世界がきっとあります。

「いつか」は、実はすごく近い未来なのかもしれませんし、「夢」と思っていることの先には、その100倍、1万倍も大きな「夢」がさらに待ち受けているかもしれません。

動いてみないと、本当の可能性は見えてこないものなんですよね。

そうか、何はなくとも、やっぱり行動なんだよなあ、と、常にそこに戻っていくようです。