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起業や独立をする前に 、今の会社で学んでおくべき10の事柄(後編)

近い将来、起業をしたいと希望している日本在住のアラサー男子に対して、「会社にいる内に、学べることっていっぱいあるよ」と話したのですが、それが具体的に何を意味しているのかが分からない、と質問されました。

ネットで関連記事をいろいろ探しては見たのですが、イメージしている具体的な学び項目が見当たらなかったので、自分で書いてみたら、思い切り長くなりました。

前回の「前編」と今回の「後編」に分けて掲載しています。参考になれば幸いです。

⇒ 「前編」はこちらからご覧ください。

6.給与体系、人事考課を知る

前編の就業規則のところでも触れましたが、会社が成長して人が増えていくに従って、いろいろなことにルールが必要になってきます。

すべての従業員は「公平感」を求めていますが、とくにお金が絡む場合には、より慎重を期さねばなりません。

給与体系について、ある程度のフォーミュラ(計算式、公式、規則)を持っておくことは、公平性を確約する上で重要です。

人間は主観の生きものなので、感情に左右されて公平なジャッジメントがしにくくなることがあります。好感を持っているスタッフは優遇したくなるし、突き上げばかりしてくる小憎らしい(でも実際にはありがたい存在だったりすることもある)スタッフは、厳し目に評価してしまいがち。

あるいは、そういう自分を意識しすぎて、あえてその逆をしてみたり。

自分がやってきた専門分野のことだと評価が上手にできるのに、その他の部門になると、何を基準に「よくやってくれている」ということを評価すればいいのかが分からず、結果、低い評価となりがちです。

今どき、完全年功序列の会社はあり得ないと思いますが、では何を基準にするのか。

人事考課の結果を計算式として給与体系に組み込んでいくのは、なかなか高度な技ですし、今度は人事考課が難しいものになってしまいがち。

会社が小さい内は、役割の重要度と経験を元に給与を決めていって良いとは思いますし、その年の利益や成長度合いを見ながら、鉛筆なめなめ給与額を考えても良いとは思います。

でも、いずれはそうはいかなくなります。

なので、今の会社がどうやって給与体系を規定し、皆が文句を言わずに納得して従うシステムを長い間に構築してきてのか。できる範囲で、じっくりと学んで、ひとつの事例として習得してしまうことです。

人事考課システムの構築は、外部コンサルタントなどを入れると、とんでもない金額がかかるケースがあります。そして、あまりにもたいへんなために、実際には運用されない結果に終わることも多いものです。

今の会社の仕組みも、もしかしたら何年もかかって磨きこまれた優秀なシステムなのかもしれません。まずはそこから学び、良いと思ったらエッセンスだけ拾って、小さなところから真似をしていきましょう。

7.社員の不満とやりがいを知る

たっぷりと残業した後、会社の皆で飲みに行って、終電まで愚痴大会、なんて生活を疑問なくしている人は、ライフコーチを受けたりしないし、このブログに目を留めたりもしないと思います(笑)。でも、「疑問がありながら」仕方なく付き合っている人は、若干いるかもしれません。

もしどうしても抜けられない事情があるのだとしたら、そこでは「皆が何を愚痴っているのか」に焦点を当てて、経営者のスパイ的感覚で参加してみるのも面白いと思います。

たいていは、愚痴を言うことで、束の間、ありもしないパワーを感じたいだけだったりするのですが、中には、彼らの言い分にも一理あるケースだってあるでしょう。

業績が厳しくなってくると、会社も好むと好まざるとにかかわらずブラック化しがち。社員との間に歪みがおこっているのも気づかずに、どんどん締め付けを強めてしまうこともありえます。

一度、享受したベネフィットを取り上げられたら、初めからなかった時の何倍も気持ちはダメージを受けるものです。

皆が同じように見えても、ひとりひとりの思いは微妙に違ったりもします。

Aさんは、この件をこのように見ていて、こう感じている。

Bさんは、逆に反対側から見て、こう感じて不満に思っている。

人はそれぞれ見方が違うし、反応の仕方も違う。

人をじっくりと観察し、見方や解釈、反応の違いについて、実感してみると良いと思います。

同時に、「仕事へのやりがい」も、人それぞれ、実はちゃんと持っていると思います。

愚痴を言いながらも、仕事の話でイキイキと輝く瞬間があったら、そこを見逃さない。仕事をしながら、楽しそうにしている姿があったら、その源泉となっているのは何かを追いかけてみる。

少々照れくさいものですが、飲みながら、食事をしながら、まずは自分の夢を語ってみせ、それをきっかけに皆の夢も聞き出してみるのも楽しい会話です。

経営者は、ある意味、人の人生を預かるようなところがあります。

スタッフが、仕事に生きがいを感じてくれること以上に望むことなど、何もないと言っても良いかもしれません。

彼らの悩み、彼らの生きがい、彼らの幸せ。

同僚も部下も、そして上司も。皆、それぞれに人間で、それぞれに支える家族やパートナーがいて、それぞれに違う思いを抱えて生きています。

今の内から、人の「心」に敏感になる訓練をしておくことは、必ずや未来に役立ちます。

8.部門長や社長になってみる

前項目で見出したスタッフたちの不満を、どうしたら解決可能か、部門長や社長になったつもりで考えてみましょう。

あなたにはそれを解決する権限はないかもしれませんが、解決策を「考える」自由はいくらでもあります。

一緒になって愚痴るより、本音をのぞかせてもらえている立場を利用して、ケーススタディとして解決策をいくつも捻り出してみるのです。

あるいは自分が感じる不満をネタに、解決策を考えてみるのも良いと思います。

経営の手腕は、問題解決の手腕と言っても過言ではないくらい、日々、ありとあらゆる問題、課題に立ち向かうことになります。MBAのカリキュラムでも繰り返し取り組むのは、ケーススタディです。

ケーススタディとは、あるシチュエーションを物語のように与えられ、ひと通り読んだ後で、1)このケースで解決すべき課題・問題は何かを答え、2)解決策を3つ提案し、3)それぞれの良い所(Pros)と劣る所(Cons)を比較対照して論じ、4)その中からひとつ最善策を選んで、理由を説明し、5)策の実行プランを組み立てます。

それをレポートにしたり、プレゼンテーションさせられたり。いったいいくつのケースを投げかけられたことか…。

なるほど、マネージメントとは、人をガチガチに管理することではなく、柔軟に問題の解決を図るってことなんだなあ、と実感させられた体験です。

社員の中に吹き溜まりのようになっている問題。

自分がこれはまずいのでは?と感じる課題。

これはもっとこうするときっと良くなる、という提案。

会社はきっとこういうことを始めるといいというアイディア。

そんなことを、あたかも自分が部門長や社長になったつもりで考えてみるのです。考えるのは無料。自由。

皆と一緒になって愚痴る時間があったら、それをどう解決するかにフォーカスし、未来の経営者体験を始めてしまった方が得策ですね。

9. 顧客を知る

これは正確に言うならば、顧客との関係や、関係づくりについて知る、ということです。

まずは「集客をどうしているのか」。

独立した時に、まず問題になるのは、どうやってお客さんを集めようかということ。それを、今の会社はどうやって行っているのか、マーケティング部門に相当する機能をじっくりと見つめて、見極めてみましょう。

マーケティングとは、口の小さな瓶に液体を注ぐ時に使う「じょうご」のようなもの。

見込み客をどのように集め、彼らをどう潜在顧客に育て上げ、顧客として商品やサービスを購入してくださる関係に昇華するか。

そのプロセスのひとつひとつに、会社固有の、そして商品やサービスに固有の仕掛けがあります。

マーケティングというと、すぐに「広告しなくちゃ」「ウエブサイトを作らなきゃ」となったりしますが、すべてのツールが機能的に連携していなければ意味がありません。その連携プレイを中からリアルタイムで見ることができるチャンスがあるならば、ぜひ担当部門に近寄って見せてもらうと勉強になるでしょう。

そして、顧客がファンになって、忠誠心あふれるリピーターになり、紹介をしてくださったり、おすすめコメントを書いてくださったりするために、現場では何をどうしているのかを見ること。

ファン化のプロセスですね。

どんなビジネスも、顧客なしには成り立ちません。リピート客がない会社は、常に新規顧客を集め続けなくてはならず、その内、市場が枯渇してしまいます。

顧客との関係づくりについて、現在の会社がしていることを注意深く観察し、分析しておけば、将来に活かせることがたくさんあるはずです。

決して、すべてに共通する「正解」があるわけではありませんが、ひとつの事例として参考になるものは学べます。

自分が将来まったく違う業界に行くとしても、市場規模が違うにしても、マーケティングのエッセンスには共通したものがあるはずです。

10. 会社の中の便利ツールを知る

顧客情報を管理する住所録+顧客管理ソフト。皆で共有しているカレンダー。大容量データを共有するためのファイルサーバー。他エリアの拠点と情報をリアルタイムにやりとりするためのビデオ会議や情報管理システム、共有備品や会議室などの予約システム、顧客や市場リサーチのためのツールなどなどなど。

今いる会社で何気なく使っている便利ツールを、細かくじっくりと見ておきましょう。

「私、ITは苦手で…」などと言っていられる時代ではありません。独立して、ひとりで何でもやらねばならなくなった時こそ、生産性と効率を最大化させてくれるITツールを駆使するべきです。

独立した後で、「こんな時、会社はどうしてたんだっけ…?」と思い返してみても、後の祭り。(もちろん以前の同僚に聞けば良いのでしょうが。)

何気なく使っているコピー機やスキャナーひとつ取っても、個人事業主が使えるようなものではないはずです。

でも、良い物を知っていて、こんなことができるんだな、と分かっていると、それを別な形で応用することは可能です。

今は、無料や、ひじょうに安価に、基幹ツールが手に入る時代。起業家にとっては、本当に恵まれた環境が整ってきています。

与えられるものを何気なく使うだけではなく、それらを熟知して使いこなし、もしそれが気に入らないのであれば、代案として何があるのかをリサーチしてみたり、個人事業主としてはどんな選択があるのかをシミュレーションしてみたりするのも良いでしょう。

まとめ

ここまで10の項目について見てみましたが、一言で言うと、「毎日、ボーっと仕事してるな」ということになるでしょうか(笑)。

将来、起業をしたいなら、今すぐ、今いる会社を自分のもののように見始めること。そのことによって、すべての見え方が変わります。

優秀な上司や幹部が、一生懸命、苦労して築き上げてきた今の姿には、それなりに「理由」があるのです。そこを見ないで、不満ばかり言っていても始まりません。

すべてにおいて「意識的になる」こと。

それだけで、会社で働く今の時間は、未来の起業のために、100倍も有効に活用できるようになるはずです。

Good luck!

⇒ もう一度、「前編」から読み直してみる

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