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間違った選択をした人にも、それを正すチャンスがある社会に

アメリカで放送されている、とある日本のニュースショーの中で、薬物所持で3度目の逮捕となった有名人の話を紹介していました。

ほんの短い紹介でしたが、ストーリーの締めに、メインらしきキャスターさんが、こう言い放ったのに仰天しました。

「本当に凝りない人ですねぇ!」

日本に住んでいる友人、知人らが皆、日本はどんどん住みにくさが増すばかりだと言うのですが、つくづく人に対して情け容赦なく、厳しい社会だなあと、寒々しい思いでTVのスイッチを切りました。

この方も、仕事として何か言わねばならないから、社会の通念に沿う形で「期待されている」発言をしたまでのことなのだろうとは思います。ベテランだから、その職業的判断に迷いはなく、言葉も鋭かった。だからこそ余計、背筋がヒンヤリとしました。

決して間違うことを許さない、失敗の繰り返しを許さない、立ち直ろうと苦闘する姿すらも見ようとしない社会。

本人のことなど直接知る由もないだろうに、報道されている事実だけで、ここまでバッサリと人を切り捨ててしまえること。そして、「そのように思い、扱うのが正しい」と人々にも無意識の内に刷り込まれてしまうことが辛いなあと思うのです。

依存症は病気。適切なリハビリが必要

一度のみならず、二度、そして三度と罪を繰り返した「罪人」に情状酌量の余地などない、と言う論旨なのだろうと思います。もちろん法をおかしたことについては処罰を受けるべきですが、ドラッグ中毒は依存症という病気であって、適切な治療を受けて、心身共に徹底したリハビリテーションを受けなくては、何度刑務所に入れたところで繰り返すばかりです。

ましてや社会に理解がなく、冷たく距離を置こうとするだけならば、復帰しようにも行き場所はどこにもないのかもしれません。刑務所で出会った、似たような境遇を共有するグループと一緒にいたくなる気持ちが湧いても不思議ではありません。それが再び、ドラッグへ戻っていくきっかけにもなるわけです。

というタイミングで、田代まさしさんのインタビュー記事を拝見しました。

彼もまた、何度も犯罪を繰り返し、世間から愛想を尽かされたひとり。今、彼は、アルコール中毒症の人々の社会復帰を支援するアメリカのAAミーティングのような中毒者の更生施設を手伝う仕事に精を出しているそうです。

彼のインタビューから見えてくるのは、日本には中毒症の方を適切に治療し、社会復帰を支援するシステムがこれまでなかったことです。長いインタビューですが、日本の薬物取り締まりや更生に関する現状をリアルに語っていらっしゃるので、ぜひ読んでみてください。

薬物に手を出した人をいくら罰したところで、何の意味もないことが良く理解いただけるでしょう。

⇒ 『マーシーの薬物リハビリ日記』発売記念
  ロングインタビュー「“薬物依存症の田代まさし”を、やっと受け入れることができた」

 ドラッグ大国アメリカの現状。わずかな救いは更生への支援体制

僕の住むアメリカは、ドラッグ問題が隅々まで行き渡ってしまい、一部の人の関心ごとでは済まなくなっています。ハワイで住んでいたエリアのすぐ近所に小学校があったのですが、その校舎にも、児童たちが手作りしたバナーが飾ってありました。

「ドラッグのないハワイを作ろう!(Drug-Free Hawaii)」

小学校で、こんな教育をしなくてはならない社会も悲惨です。

ドラッグがあまりにも手軽に手に入り、それをビジネスとして生活の手段としている売り手がいる。物品の出入りが管理しやすい島にも関わらず、どこからともなく入り込んで、普通の人々を蝕んでいく。

手軽さゆえに、本当の怖さを知らずに手を出してしまう「犠牲者」も多くなります。

アメリカのメディアには、過度の摂取で突然死したスターたちのニュースであふれています。

好奇心で手を出した子どもたちも、悲しい結末に至って親を泣かせています。

ある時、親が子供が部屋から出てこないので見に行くと、薬物過剰摂取によってショック死をしていた、なんて話が普通にあちこちに転がっています。

でも、そんな悲惨で深刻な状況にも関わらず、アメリカの社会に多少の「救い」が感じられるのはなぜなんでしょう。

あまりにも日常茶飯事だから、慣れっこになってしまったのかも、とも思うのですが、それよりもきっと、身近にたくさんの更生施設が存在するのを知っているからだし、中毒から立ち直って社会復帰しようとする人たちを支援するシステムがあるからなのだと思います。

立ち直ろうとしている人たちと、それをサポートするコミュニティの存在が目に見えること、そして、見事カムバックを果たした人たちを手放しで賞賛する、懐の深い愛情が、この社会から感じられるからなのでしょう。

一度や二度、人生の中で間違った選択をすることは誰にでもあると思います。そのことで、一番苦しむのは、他でもない自分自身です。

間違いに気づき、元のコースに戻りたいと願った時に、頼れる場や手段がある社会とない社会、どちらが生きやすいのか。

繰り返しますが、アメリカの状況は悲惨です。

日本で言う「危険ドラッグ(元・脱法ドラッグ)」の類も蔓延し尽くしていて、人々の感覚も、かなり麻痺している様子。

こんな状態になってしまった状況を、どう解決できるというのでしょう。そこに希望感はまったくありません。

インターベンションという「周囲」の働きかけ

自分では深刻さに気づかず、どんどん深みに落ちていく一方の中毒患者を見かねて、家族や友人、恩師などの関係者がずらっと集まって「インターベンション」という「介入」を行うこともあります。

インターベンションをするからと言うと来ない可能性があるので、まるでサプライズパーティのようにだましうちで介入の会はスタートします。

「我々がどんなに君を愛しているか、気遣っているか、分かっているよね。でも、今、この瞬間にリハビリセンターに入って治療を受けないのだとしたら、我々は君との親交を今後一切止めるよ。」

参加した人々が、このような手紙をあらかじめ書いてあって、それを順番に読み上げます。

そんなリアリティ番組(題名「インターベンション」)があって、アメリカの現状と、人々の対処の仕方が興味深くて、食い入るように見ていた時期がありました。今もまだ続いているようです。

もちろん家族や友人の中には、落胆や、怒り、悲しみなど、複雑でやるせない気持ちが渦巻いています。しかしそれでも尚、「我々はあなたの治療を心からサポートする。だから、今、一緒に前を向いて進もう」と、毅然と手を差し伸べるのです。

責め立てることが解決にならないことは明らかです。理解を示し、愛情を示し、解決の扉へと厳しく導くことが、最善だと悟らざるをえないほど、彼らは絶望しています。

セレブの中毒者ばかりを扱うリハビリセンターを舞台に、7−8名のセレブが集まって中毒と戦う様子を追いかけたリアリティ番組「セレブリティ・リハブ」というのもありました。

ある程度、有名な歌手、俳優、モデル、元スポーツ選手らが、かつての栄光からどん底体験をし、立ち直るために中毒症状と戦い、「心のあり方」を学んでいく過程に惹きつけられて、よく見ていました。

悪は人の弱みにつけこんで売る方

今、住んでいるビバリーヒルズやハリウッドの周辺には、ドラッグからのリハビリテーション施設が山ほど存在します。(トップの写真もそのひとつ)

デトックスとか、なんとかリトリートとか、リハブセンターとか、いろんな呼び名で宣伝されていますが、そこに感じられるのは、罪人を罰するような考え方ではなく、やむを得ず中毒にかかった病人を心身ともに治癒し、自分の力で社会生活に戻っていけるようにサポートする考え方です。

こんな恐ろしい中毒性のある危険薬品を作り、売る人間こそが「悪」。

「本当に凝りない人ですねっ」と切り捨てることなく、手を差し伸べて、支援できる社会になっていかねば、田代さんが語るように、刑務所に更生効果はなにひとつないことは明らかです。

比較の対象にもならないことですが、僕は17歳くらいの頃から吸っていたタバコを止めるのにも、かなり苦労しました。

36歳で一度は止めながらも、また少しずつ吸い出して、実際に、最後の一本を止められるのにかかった年数は、なんと8年以上。

タバコでさえも、そんなに苦労するのだから、もっと中毒性の強い薬物だったら、ひとりで解決する自信はありません。

人は社会の財産です。

罰して、裁いて、ボロボロの廃人になるまで追い込むのではなく、手を差し延べて、社会に貢献できる一員として、じっくりと育てていくことこそが、本来、必要なこと。

危険薬物の流通を食い止めることに最善を尽くすのはもちろんのこと、依存症にかかった人を救済し、社会復帰へと導くシステムが普及することを願ってやみません。

田代さんのような体験者が、どんどん表に出て語ることが必要なんだろうと思います。

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