あなたが嫌いなのは「会社」であって「仕事」ではない、かもしれない

29年間の会社生活を離れて、ちょうど11カ月。・

朝起きて、会社に行かない生活に憧れた頃から数えると、早…10数年? いや、僕の場合は、学生の頃から、フリーランスとか、自由業という言葉に憧れていたし、だからコピーライターとかいいなあと思ったはずだし、実際、そんな方々がメディアで取り上げられ始めた時代でもあったので、思いとしては、働き始める前から、ずっとあったのだと思います。

ただ、「自分にもできる」と確信するまでに、こんなに長い歳月が必要だった、ということですね。

というよりも、別に今でも、「確信」なんかどこにもないです。

そんなのがあって会社辞められたら、それはハッピーでしょうけれど、こればっかは準備しまくったところで、予定通りに行くことばかりではないので、やってみないとわからないのです。

ただ、何となく、すべてが自然にススーッと流れ行くような、タイミングというものはあるのかな、と思います。

会社に行くという行為が苦手だった

僕の場合は、「会社に行く」という行為が、まず苦手でした。

日本にいた頃も、通勤電車の中で読んでいた本が佳境に入ってゾクゾクするくらいに面白く、「今、ページを閉じたくない」という瞬間があって、こんな時、ちょっと喫茶店でも寄って、せめてこの章の終わりまで読んでから会社行けたらなあ、なんて思ったりしたこともありました。

日本の場合、週末の映画館とか、繁華街とか、異常に混むのが苦手で、平日の空いている時に、すいすいと人混みを避けて楽しめる特権があったらなと願ってもいました。

好きな人とだけ仕事ができたらいいのにな、とか、好きなプロジェクトだけ選んで関われたらな、とか、忙しくもないのに皆に合わせて残業しないといけないのはおかしいな、とか、理由は数え上げたらキリがないかもしれませんね。

ハワイに移住して、ネット環境が整ってきてからは、ますます会社へ行く意味、というのが薄く感じられ、別に行かなくても家でも同じことができるよなあ、と常々、思ったりもしていました。

仕事は大好き。今も前より長時間労働中

別に仕事は嫌じゃないのです。

やってきた仕事の中で、本当に嫌だったことなんて、今思えば、まったくないと言ってよいほど。だけど、朝から晩まで、決まった時間、しかも9時間とか10時間とか、時に11時間とか「拘束」されてしまうことが、堪らなく辛かったんですね。

今も別に長い時間、机に向かって、自分で自分を拘束しておりますが(苦笑)、スタートアップで人に頼む段階ではないから、自主的に何でも自分でやっているからだし、途中で買い物行こうと、友人と長めのランチしようと、誰かから咎められる筋合いもありません。その状態は、とても居心地よいです。

29年もの会社生活の後、急に出勤しなくて良い生活になるのってどんな感じだろう…と期待半分、不安半分で始めた新生活。でも、会社へ行かない、という新しい習慣には、一瞬で慣れました。2日目か3日目で、もう当たり前のようになっていました。なんて自分に合ってるんだろう、と本当に今でも思います。

時に、人に強制されないと怠けちゃう~っていう人もいるんですけれど、僕の場合は、自分が一番自分に厳しいボスでもあるので、お前、いい加減にしてやれよ、と影の自分が止めてあげたくなるほど、放っておくと延々とやってます。

逆に、通勤、というメリハリがない分、気づくとずーっと机に向かっています。労働時間としては、前よりもはるかに長くなっています。土日も関係ないですしね。

嫌いなのは仕事? それとも会社へ行くということ?

先日も、「そんな暮らしがしたい、憧れます」という方とお会いしました。ライフコーチのクライアントも、かなりな確率でそこに憧れているようで、どうやったら会社に行かない生活にたどり着けるのか、道筋づくりを一緒にやってほしい、という依頼がよくあります。

その彼女も、もう会社辞めたくて辞めたくて…って言うのですが、よくよく聞いてみると、辞めたいのは会社生活であって、今やっている仕事本体ではありませんでした。仕事は、何らかの形で続けても全然構わないし、逆に、そういう形で続ける方が、仕事への情熱が取り戻せるのではないかと感じている、と。

きっと、そういう人、多いんじゃないかなあと思います。仕事との関わり方を変えたら、またフレッシュな気持ちで、創造的に取り組めるのかもしれません。

上の写真のように、流行りのサードウエイブ系のカフェでマック広げて仕事するのって、いいですよね~。ロサンゼルスでも、サンタモニカとかベニスのおしゃれ系カフェに行くと、ズラーっと並んで皆、マックでお仕事しています。ここってアップルストア?って位に、なぜか皆、マックブック系。

組織で働く良さももちろんありますし、そうでなければできない仕事も多いと思います。日々、苦楽を共にする仲間の存在は貴重です。そして、会社を辞めたら、もちろん定収入は消えますし、保険とかベネフィットも消えます。しばらくはローンも組めない場合も多いです。

「会社、辞めたい!」「もう、うんざり」という気持ちはとてもよく分かるのですが、そこを一歩進めて、「やっている仕事が嫌い」なのか、「会社の環境が嫌い」なのか、「会社へ行く、という行為が嫌い」なのか、分解して分析してみると良いかと思います。

会社を辞めて、ひとりで仕事をしたら、何もかもがバラ色になるわけではありません。そこに幻想があっての独立だったりすると、厳しい暮らしが待っているかもしれないので、よく注意しましょう。