小さな成功体験が「自己肯定感」をグングン上げてくれる

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32歳でハワイに移住し、MBAプログラムに進学してからは、インターンとして働きながらも、早く卒業してフルに働ける日を夢に見る毎日でした。かなり長い時間働いていたので、一度に取得できる科目数もいつもミニマムの3つ位。詰めればもっと早く修了できるところを、2年かかっての卒業となりました。

大人になってからの学生生活だったので、授業料も自分持ち。となると現金なもので、このお金に見合う「何か」をきっちり身につけなくてはと必死になるものです。親のお金で行った大学でも、同じような心構えができていれば、とは、後の祭り…。

大学の専攻は文学部で心理学・社会学関係だったので、初めて正式に学ぶ経済や経理、財務の話は新鮮で、とても楽しいものでした。日本ではまったく興味の持てない分野だったはずなのに、取り組んでみたら決して苦手ではない自分も発見して驚きの連続でした。

年齢やキャリアに対する変なプライドがあったのでしょうか。単に優秀な成績をもらうだけでは満足できない自分がいました。こんなに負けず嫌いな性格だったっけ?と思うほど、クラスでトップになることにこだわって勉強するようになったのです。

講師からのフィードバックを直接受けに行ったり、わからないことをメールで聞いたり、初めて真剣に「勉強する」ということを学んでいました。そして、勉強するとそれなりにできる自分を知って、まんざらでもないな俺、とセルフイメージがグングン上がっていくのです。

日本の優良可と同じように、成績は三段階でABCで表されるのですが、英語プログラムの頃から、かなりAばかりいただいておりました。遊んでばかりで勉強しないお子様留学生と一緒にされてたまるか、みたいな、おじさん学生の妙なプライドが良い方向に働いたようです。

そうやってAを積み重ねたスタートだったので、今度は逆に「Aを取って当たり前」という風にスタンダードが上がってしまいました。自分に対してものすごいプレッシャーではありましたが、結果を出すことにつながりました。

アメリカ社会は、できる人、頑張って成果を上げた人に対して、ご褒美を上げるのがとても上手です。卒業式では、成績優秀者は特別な模様の入ったガウンを身につけることができ、名前を呼ばれる時にも「With distinction(優秀な成績で)」と言う言葉をくっつけて紹介してくれるんですよね。

頑張って良かったなあ~と、小さなプライドをくすぐられる瞬間です。

入るのに競争の激しい一流校なわけでもないし、実際、何のために、こんな場所で貴重な時間をお金を使っているのだろうと疑問に思うような態度で授業に出ている学生も多い中でのことですが、それでもそれは自分にとっての「小さな成功体験の積み重ね」であり、元来、それほど高くなかったセルフイメージを上げていく上で、ひじょうに効果的なことでした。

一流校で下位の成績を取って打ちひしがれるより、自分にとってははるかにその後の人生のために良い体験になりました。

頑張ればできる。願えば叶う。

どんな小さなことであっても、そんな風に思えるような体験を積み重ねることで、人間には「勝ち癖」ができてくるようです。

日本で10年近く働いた時にも、それなりに成果は上げ、評価もいただいてきたので、やればできる自分は意識しつつあったのですが、ここまではっきりと「勝つ」ことにこだわって意識的に努力したのは初めてのこと。それが形として報われたのですから、卒業式の自分は、本当に晴れ晴れとした顔をしているのでした。(上の写真は、ワイキキシェルで行われた卒業式の写真です。17年前の1月。)

成功体験が少ない人は、「努力は報われない」と思いながら生きています。でも、小さな成功体験を積み上げてみると、「人にできるなら自分にもできる」「学んで努力すれば、きっと報いはある」と信じられるようになっていきます。

僕にとっては、マラソンも、そんな風に成功体験を積んで、勝ち癖をつけるための良きトレーニングとなっています。

どういうビリーフを持っているかによって、努力に向かう時の態度も変わってしまいます。どうせダメだろうと悲観的に取り組むよりも、もっとたくさんの夢を叶えてやろうとワクワクしながら取り組む人の方が、当然のことながら成果を出しやすいはずですよね。うまく行かないことがあった時にも、大丈夫、やり方を変えて、また頑張ろう、という気になれるもの。

小さな成果を積み重ねて「勝ち癖」をつけることで、どんどん高い場所に登って行きましょう。